術前MRI検査は早期乳癌女性には必要ないと考えられる

キャンサーコンサルタンツ
2010年2月

COMICEランダム試験に関わるイギリス研究者は術前MRI(磁気共鳴撮像法)は早期乳癌女性の再手術率に影響しないことを報告した。この研究の詳細は2010年2月13日発行のLancet誌で発表された。

従来の画像では検出できなかった癌の切除追加領域を検出するために、乳房温存手術(腫瘍摘出手術)を受ける早期乳癌女性への術前MRIの使用は増加傾向にある。術前MRIの使用は外科計画をよりよくし、追加手術を減らし、局所再発リスクを減らすという仮定に基づいている。

しかし、オーストラリアのシドニー大学とミシガン大学総合がんセンターの研究者は早期乳癌の術前MRIは、手術の転機または長期予後改善のエビデンスなく、さらに広範囲な手術に導くことを報告した。

この結果は、早期乳癌女性における腫瘍の検出と外科治療へのMRIの効果を評価した20を超える研究に基づいている。これらの研究者は乳癌患者の術前MRIを評価するためにランダム化比較対照試験の形式でより多くの研究が必要だということを結論づけている。一方で、MRIが偽陽性や不必要な手術を引き起こし、また再切除率を減らすとも思われないと研究者は結論づけた。また術前MRIは実際のところ、利益より不利益が多い可能性があると主張する。

今回の研究では、1,623人の早期乳癌女性が局所切除に先立ち従来の術前評価を受けるか、またはMRIを加えた従来の術前評価にMRIを加えた群に無作為に割り付けられた。

・この研究における再手術の割合はMRIとMRI未使用の治療群ではどちらも19%であった。

「患者のうち19%は、再手術率を減らすためにMRIが不要かもしれないことを示したことにより、この研究結果はNHS(英国国民保険サービス)にとってメリットとなり、今後のNHSのサービス改善に寄与するものである」と結論づけた。

コメント:この研究は標準化した研究に関する術前MRIは有用でないことを強く示す重要なランダム化試験である。

参考文献:
[1] Turnbull L, Brown S, Harvey I, et al. Comparative effectiveness of MRI in breast cancer (COMICE) trial: a randomised controlled trial. The Lancet. 2010;375:563-571


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監修 平 栄(放射線腫瘍科/武蔵村山病院)

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