ハーセプチンを化学療法に追加してもHER2陽性胃癌患者のQOL(生活の質)を損なわない | 海外がん医療情報リファレンス

ハーセプチンを化学療法に追加してもHER2陽性胃癌患者のQOL(生活の質)を損なわない

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

ハーセプチンを化学療法に追加してもHER2陽性胃癌患者のQOL(生活の質)を損なわない

キャンサーコンサルタンツ
2010年2月

国際ランダム化第3相臨床試験の研究者らは、ハーセプチン(トラスツズマブ)による治療が、HER2陽性で手術不能な進行胃癌や進行食道胃接合部癌の患者の生活の質(QOL)を損なわずに生存を改善することを報告した。この結果は1月に開かれた2010年消化器癌シンポジウムで発表された[1]。

 

ハーセプチンはHER2陽性乳癌女性の治療成績をあげることに多大に貢献した標的治療薬である。HER2経路は、細胞の複製と増殖に関与する生物学的経路である。約20〜25%の乳癌でHER2タンパク質の過剰発現がみられ、HER2陽性といわれる。ハーセプチンはこのHER2タンパク質を標的として阻害するため、早期および進行両段階のHER2陽性乳癌に使用される。

 

HER2の過剰発現は胃癌や食道胃接合部癌にもみられる場合がある。HER2陽性で手術不能な進行した胃癌もしくは食道胃接合部癌患者におけるハーセプチンの安全性と有効性を評価するため、594例を対象に国際第3相臨床試験が実施された。半数の患者は化学療法単独の治療を受け、残りの半数は化学療法+ハーセプチンの併用治療を受けた。この化学療法はフルオロピリミジン(ゼローダ(カペシタビン)または5-FU)+シスプラチンである。

 

全生存期間は化学療法+ハーセプチン併用群が13.8カ月であったのに対し、化学療法単独群は11.1カ月間であった。無進行生存期間の中央値は化学療法+ハーセプチン併用群が6.7カ月であったのに対し、化学療法単独群が5.5カ月であった。

 

2010年消化器癌シンポジウムではこの試験のQOLデータが発表された。総合的健康スコアは両群で化学療法後に増加したが、ハーセプチン投与後はさらなる改善をみせた。認知機能は両群で同程度であった。症状スコアは化学療法後に両群で改善した。著者らは、ハーセプチンを化学療法に追加すると患者のQOLを損なわずに全生存を改善すると結論づけた。

 

コメント:この結果は、ハーセプチンがHER2陽性の進行胃癌や進行食道胃接合部癌患者のQOLを損なわずに生存を改善することを証明している。このデータは、HER2の状態の判定を胃癌や食道胃接合部癌の全患者に対する標準的な治療とすべきことを示唆する。

 

参考文献:
Satoh T, Leon J, Lopez RI, et al. Quality of life results from a phase III trial of trastuzumab plus chemotherapy in first-line HER2-positive advanced gastric and GE junction cancer. 2010 ASCO Gastrointestinal Cancers Symposium. Abstract number 7.

 


  c1998- CancerConsultants.comAll Rights Reserved.
These materials may discuss uses and dosages for therapeutic products that have not been approved by the United States Food and Drug Administration. All readers should verify all information and data before administering any drug, therapy or treatment discussed herein. Neither the editors nor the publisher accepts any responsibility for the accuracy of the information or consequences from the use or misuse of the information contained herein.
Cancer Consultants, Inc. and its affiliates have no association with Cancer Info Translation References and the content translated by Cancer Info Translation References has not been reviewed by Cancer Consultants, Inc.
本資料は米国食品医薬品局の承認を受けていない治療製品の使用と投薬について記載されていることがあります。全読者はここで論じられている薬物の投与、治療、処置を実施する前に、すべての情報とデータの確認をしてください。編集者、出版者のいずれも、情報の正確性および、ここにある情報の使用や誤使用による結果に関して一切の責任を負いません。
Cancer Consultants, Inc.およびその関連サイトは、『海外癌医療情報リファレンス』とは無関係であり、『海外癌医療情報リファレンス』によって翻訳された内容はCancer Consultants, Inc.による検閲はなされていません。

翻訳白井千恵子

監修金田澄子(薬学)

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

関連薬剤情報

一覧

週間ランキング

  1. 1血中循環腫瘍DNAに基づくリキットバイオプシーの可能...
  2. 2非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  3. 3若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  4. 4乳がん検診におけるマンモグラフィの検査法を比較する新...
  5. 5免疫療法薬の併用はタイミングと順序が重要
  6. 6前立腺癌に対するホルモン療法
  7. 7アブラキサンは膵臓癌患者の生存を改善する
  8. 8リンパ腫患者の余命は、診断後の無再発期間2年経過で通...
  9. 9BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  10. 10コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める...

お勧め出版物

一覧

arrow_upward

ユーザー 病名 発信元種別 発信元名 治療法別 がんのケア がんの原因・がんリスク がん予防 基礎研究 医療・社会的トピック 注目キーワード別 薬剤情報名種別

女性のがん
消化器がん
泌尿器がん
肉腫
血液腫瘍
その他
民間機関
その他