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ラロキシフェンのFDA承認

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ラロキシフェンのFDA承認

原文 2011/07/03更新

商標名:エビスタ®

・乳癌発症リスクの低下に対する承認(2007/09/13)

臨床試験情報、安全性、投与量、薬物間の相互作用および禁忌などの全処方情報がFull prescribing information(英文)で参照できます。

2007年9月13日、米国食品医薬品局(FDA)は、骨粗鬆症を有する閉経後女性、および浸潤性乳癌のリスクが高い閉経後女性における浸潤性乳癌のリスク低下に対して、ラロキシフェン塩酸塩の錠剤(エビスタ®錠、製剤販売元:イーライリリー社)を承認しました。

骨粗鬆症を有する閉経後女性における浸潤性乳癌のリスク低下に対する安全性および有効性は、3件の臨床試験(RUTH、MOREおよびCORE)において立証されました。MORE(Multiple Outcomes of Raloxifene Evaluation)試験は、閉経後女性5,133人を対象とした、多国籍共同ランダム化プラセボ対照二重盲検の骨粗鬆症治療試験でした。ラロキシフェン塩酸塩の乳癌発症に対する効果は、安全性の副次的評価項目として評価されました。治療開始から中央値4年の時点で、ラロキシフェン塩酸塩はプラセボと比較して、浸潤性乳癌の発症を71%低下しました(HR 0.29; 95% CI 0.15, 0.56)。浸潤性乳癌が発症したのはラロキシフェン塩酸塩群では2,557人中11人であったのに対し、プラセボ群では2,576人中38人でした。

CORE(Continuing Outcomes Relevant to Evista)試験は、当初MORE試験に登録していた閉経後女性4,011人のサブセットにおいて実施された追跡試験でした。治療開始からさらに中央値3年の時点で、ラロキシフェン塩酸塩はプラセボと比較して、浸潤性乳癌の発症を56%低下しました(HR 0.44; 99% CI 0.24, 0.83)。浸潤性乳癌が発症したのはラロキシフェン塩酸塩群では2,716 人中19人であったのに対し、プラセボ群では1,274人中20人でした。

RUTH(Raloxifene Use for the Heart)試験は、冠動脈イベントのリスクが高い閉経後女性10,101人を対象とした、多国籍共同ランダム化プラセボ対照二重盲検試験でした。治療開始から中央値5年の時点で、ラロキシフェン塩酸塩はプラセボと比較して、浸潤性乳癌の発症を44%低下しました(HR 0.56; 95% CI 0.38, 0.83)。浸潤性乳癌が発症したのはラロキシフェン塩酸塩群では5,044人中40人であったのに対し、プラセボ群では5,057人中70人でした。

MORE試験、 CORE試験、および RUTH試験において、乳癌発症の低下は主として、エストロゲン(ER)受容体陽性の浸潤性乳癌発症の低下によるものでした。ER受容体陰性の浸潤性乳癌発症の低下は認められず、さらに、非浸潤性乳癌発症ではラロキシフェン塩酸塩群およびプラセボ群の両群間に差はありませんでした。浸潤性乳癌の多くはステージIまたはIIでした。3件の試験において女性1人を浸潤性乳癌から予防するために、1年間治療を要する女性の人数は、323人から862人でした。

乳癌のリスクが高い閉経後女性における浸潤性乳癌のリスク低下に対する安全性および有効性は、STAR(Study of Tamoxifen and Raloxifene)試験において評価されました。浸潤性乳癌発症の低下に対する5年間以上のラロキシフェン塩酸塩60 mg/日およびタモキシフェン20 mg/日の比較による効果は、閉経後女性19,747人を対象とした、ランダム化二重盲検試験において評価されました。浸潤性乳癌発症を低下させることにおいて、ラロキシフェン塩酸塩はタモキシフェンより優位ではありませんでした。浸潤性乳癌が観察された発症率は、ラロキシフェン塩酸塩では4.4/1000人年、およびタモキシフェンでは4.3/1000人年でした。非劣性試験の解析による結果は、タモキシフェンの浸潤性乳癌発症の低下に対する効果に比べ、ラロキシフェン塩酸塩は35%劣るにとどまる可能性が追認されました。タモキシフェン群はラロキシフェン塩酸塩群と比較して、非浸潤性乳癌が発症したのは少数でした。ラロキシフェン塩酸塩群はタモキシフェン群と比較して、深部静脈血栓症および肺塞栓の発症率、さらに白内障手術および子宮摘出術の割合が低く、さらに子宮内膜癌の発症率も低い傾向にありました。

ラロキシフェン塩酸塩は、深部静脈血栓症、肺塞栓および網膜静脈血栓症のリスク上昇と関連があります。冠動脈性心疾患と報告されたあるいは主要冠動脈イベントのリスクが高い閉経後女性を対象とした試験において、脳卒中による死亡のリスク上昇が確認されました。その他の有害反応(2%以上、およびプラセボ投与と比較した場合に多い)には、ほてり、下肢痙攣、末梢性浮腫、インフルエンザ症候群、関節痛、および発汗があります。個々の閉経後女性のリスク/ベネフィット比を慎重に考慮する必要があります。

ラロキシフェン塩酸塩のMedication Guide(医薬品ガイド)は、イーライリリー社より入手できます。女性は、ラロキシフェン塩酸塩によって乳癌は完全に予防されることはなく、定期的なマンモグラフィおよび乳房検診が必要であることを留意して下さい。

 

この薬剤情報のサマリーは、FDA抗腫瘍薬製品室長のRichard Pazdur医師により作成されています。米国食品医薬品局(FDA)とは米国保健社会福祉省(HHS)の一部門で、新薬その他の製品の安全性と有効性を確保するための機関です。 (FDA:医薬品・医療機器の承認方法の理解(原文)を参照。
FDAの使命は、安全かつ有効な製品の迅速な市場流通を促し、流通後も継続的に製品の安全性を監視することによって、国民の健康を守り、推進することです。

原文掲載日

翻訳栃木和美

監修原 文堅 (乳癌/四国がんセンター)

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