テモダール、CeeNU+放射線療法が膠芽腫に有望

キャンサーコンサルタンツ
2006年9月

ドイツの研究者は新たに多形性膠芽腫(GBM)と診断された患者をテモダール(temozolomide)、CeeNU(lomustine)+放射線療法で治療したときの有望な結果を報告した。この第2相試験の詳細は2006年9月20日号のissue of the Journal of Clinical Oncologyに掲載された。

多形性膠芽腫(GBM)はもっとも頻度が高く、命に関わる型の原発性脳腫瘍のひとつである。GBMの患者は一般的に予後が不良で姑息的な治療となることが多い。手術施行後に術後放射線治療を行うことが標準的な初期治療である。歴史的に化学療法は予後の効果がほとんどなかった。最近、European Organization for Research and Treatment of Cancer(EORTC)によって大規模な第3相試験が複数の国々で実施され、National Cancer Institute of Canada(NCIC)は次のような報告をした。テモダールを放射線療法と同時併用後さらに補助療法として受けたGBM患者は放射線療法単独より有意に生存が延長した。しかしテモダールを受けた患者の半数にしか効果が表れなかった。そして奏効のみられた患者集団は腫瘍サンプルのDNAテストで確認できた。最近フランスの研究者はテモダールとBiCNUR(carmustine[カルムスチン])を投与した後で放射線を用いる療法が手術不能のGBM患者に有望であると報告した。

最近の試験は放射線と中央値5コースの経口CeeNU+テモダールの同時併用療法を受けた31人の成人GBM患者からなる。1人の患者は治療中感染症で死亡した。1人は重篤な肝炎になった。1人は肺線維が進行した。これらの著者は6ヶ月目の無進行生存率は61%で無進行生存期間の中央値は9ヶ月であると報告した。また全生存期間中央値は22.6ヶ月で2年生存率が45%であるとも報告した。腫瘍にMGMT遺伝子プロモーターのメチル化がある場合により良い結果になった。これらの著者は第3相試験はCeeNuの効果を確認するためまたMGMTプロモーターメチル化の予測価値を前もって評価するためであることを示唆した。

コメント

以前の試験でMGMTがテモダールの奏効を予測するのに重要であることがわかっている。CeeNUとテモダールとの組み合わせにおいても同様の観測がなされるようである。

参考文献

Herrlinger u, Rieger J, Koch D, et al. Phase II trial of lomustine plus temozolomide chemotherapy in addition to radiotherapy in newly diagnosed glioplastoma:UKT-03. Journal of Clinical Oncology . 2006;24:4412-4417.


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翻訳担当者 内村 美里人

監修 平 栄(放射線腫瘍科)

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