手術可能な食道癌の術前化学療法の有益性が確認された

キャンサーコンサルタンツ
2007年3月

食道癌患者に対する術前化学放射線療法と術前化学療法が生存期間を有意に改善することをAustralasian Gastro-Intestinal Trials Group(AGITG; 豪州胃腸臨床試験グループ)と提携する研究者らが報告した。このメタ分析に関する詳細はLancet Oncology誌 2007年3月号で報告された。

限局性および局所進行胃食道癌の標準的な治療方法には、外科手術(可能であれば)、化学療法、そして放射線療法などがある。術前化学療法と放射線療法は手術前に癌の大きさを小さくするために使用されることが多い。しかし、術前・術後化学療法のランダム化試験の結果からはいまだ結論は出されていない。

これらの著者らは、3000人の手術可能な限局性食道癌患者に対して、術前化学放射線療法もしくは化学療法を行った場合と、手術のみの場合とを比較する10件のランダム化試験のメタ分析を行った。彼らは以下の研究結果を報告した。

化学放射線療法により2年全死亡率は19%減少し、2年生存率は13%改善することが示された。これは腺癌と扁平上皮癌、どちらにも見られた傾向であった。

術前化学療法により2年全死亡率は10%減少し、2年生存率は7%改善することが示された。これは腺癌では統計的有意であったが、扁平上皮癌では有意ではなかった。

これらの著者らは、手術可能な食道癌患者にとって術前療法は有益である、と示唆している。

コメント

これらのデータは、食道癌の術前療法に関する文献にあるいくつかの相反するデータの解明に役立つ。

参考文献:

Gebski V, Burmeister B, Smithers BM, et al. Survival benefits from neoadjuvant chemoradiotherapy or chemotherapy in esophageal carcinoma: a meta-analysis. Lancet Oncology 2007;8:226-234.


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翻訳担当者 下和田 篤子

監修 平 栄(放射線腫瘍科)

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