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タキソールの有用性はHER2陽性乳癌に限定

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タキソールの有用性はHER2陽性乳癌に限定

キャンサーコンサルタンツ
2007年10月

Cancer and Leukemia Group B (CALGB) の研究者らは、ヒト上皮増殖因子受容体2型(HER2)の発現もしくは増幅またはその両方が抗癌剤タキソールR(パクリタキセル)が初期乳癌に有効かどうかを決定すると報告した。本試験の詳細はNew England Journal of Medicine誌2007年10月11日号に掲載された。[1]

 

乳癌の約25-30%がHER2陽性癌である。HER2は細胞複製および成長に関与する生物学的経路の一部をなすタンパク質であり、HER2が過剰発現しているか、HER2遺伝子変異が見られる場合、HER2陽性癌と分類される。これらの患者には現在、分子標的薬剤ハーセプチン(トラスツズマブ)の治療を受けるという選択肢がある。ハーセプチンはHER2に結合し、この生物学的経路を介して細胞の成長を減らしたり抑制したりする。

 

化学療法も依然初期乳癌患者の治療の要である。ほとんどの局限性乳癌患者は補助療法としてタキサン系薬剤であるタキソールまたはタキソテール(ドセタキセル)の投与を受けている。

患者に対してより個別化した治療アプローチを確立すべく研究が行われ、遺伝子分析とバイオマーカーは、患者個人と特定のタイプの治療成績との関連においてますます評価されている。このような個別化アプローチの目標は、治療成績の改善と、より多くの患者が不必要な治療による副作用を回避できるようになることである。

CALGBに携わる研究者は初期乳癌患者におけるタキソールの有用性を評価する臨床試験を最近行った。この試験には腋窩リンパ節転移乳癌患者の女性1,320名以上のデータが含まれる。すべての患者がアドリアマイシン(ドキソルビシン)とサイトキサン(シクロホスファミド、*日本では、商品名エンドキサン)からなる化学療法を受けていた。一方の患者群はその後タキソールの投与を受け、もう一方の患者群ではそれ以上の化学療法は行わなかった。

●HER2陰性でER陽性の患者は、タキソールを追加したことによるベネフィットを得られなかった。

●HER2陽性でER陽性または陰性の患者は、タキソールの投与により再発リスクを40%軽減した。

 

研究者は次のように結論付けた。「HER2陽性乳癌は、エストロゲン受容体の有無に関係なく、リンパ節陽性乳癌において、アドリアマイシンとサイトキサン補助療法後のタキソール追加投与による有用性と関連している。HER2陰性、エストロゲン受容体陽性、リンパ節陽性乳癌患者はアドリアマイシンとサイトキサンでの補助療法後のタキソール投与によるベネフィットはほとんど得られない。」

 

コメント

付随論説では「本臨床試験は当該患者群にタキソールを使用しないように求めるものではなく、他にいくつかのタキソールを含む治療オプションがある。しかし、医師も患者も本データに留意することが重要である。」と述べられている。著者はまた、「乳癌患者への”全適応型”(one size fits all)治療法の時代は終わりつつある。」とも述べている。

 

参考文献
[1] Hayes D, Thor A, Dressler L, et al. HER2 and response to paclitaxel in node-positive breast cancer. New England Journal of Medicine. 2007; 357:1496-1506.
[2] Moore A. Breast cancer therapy looking back to the future. New England Journal of Medicine. 2007; 357:1547-1549.

 

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翻訳吉田 加奈子

監修林 正樹(血液・腫瘍科)

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