2007/06/12号◆ASCO年次総会速報 | 海外がん医療情報リファレンス

2007/06/12号◆ASCO年次総会速報

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2007/06/12号◆ASCO年次総会速報

同号原文

NCI Cancer Bulletin2007年6月12日号(Volume 4 / Number 19)
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◇◆◇ASCO(米国臨床腫瘍学会)年次総会速報◇◆◇

予防的放射線治療で肺癌の脳転移が減少する

米国臨床腫瘍会議(ASCO)年次総会で最近発表された試験結果によると、化学療法の後に予防的全脳照射をおこなうと、1年生存率が2倍となり、そして、遠隔転移がある小細胞肺癌(SCLC)患者の脳転移の進行を遅らせることが明らかとなった。

SCLC患者のおよそ70%は癌と診断された時にはすでに遠隔転移が認められ、そして、かなりの患者に脳転移が認められる。これまでの研究により、限局期に最初の化学療法で完全奏功したSCLC患者では、予防的全脳照射(PCI)は脳転移を防ぎ予後を向上させることが知られている。ASCOで発表された新たな試験結果では、この治療方法はすでに遠隔転移をしているSCLC患者にも有効である事が示された。

この研究結果は、筆頭著者であるアムステルダムにあるVU大学医療センターのDr Ben Slotman氏により発表された。この試験は4~6サイクルの化学療法に反応をした患者286人を、経過観察群と5~12の分割照射で20~30グレイの照射をおこなうPCI群とに無作為に割り付けた。1年の時点で症候性脳転移は、経過観察群の40.4%に発症したのに対して全脳照射による治療を受けた群は14.6%であった。全脳照射治療群の1年生存率は経過観察群の2倍であった(27.1%対13.3%)。放射線治療は忍容性があり、おもなる副作用は頭痛、悪心や嘔吐、全身倦怠感であった。

小児は、より強度の低い治療で神経芽細胞腫を乗り切れる

小児腫瘍グループの研究者らにより、神経芽細胞腫の中程度リスクがある幼児や小児は、現在の標準治療より患者にやさしく負担の少ないレジメンを用いても同等の生存率が達成出来ることを示す多国間研究結果が、6月3日(日曜日)のASCO年次総会で発表された。

研究者らは、試験参加患者に対して、長期間にわたる難聴などの副作用の原因となるシスプラチンの代わりにカルボプラチンを多剤併用化学療法に用いた。さらに投与サイクル、1サイクルの期間も減らしたことで、これまでの標準は71日の治療で286日間以上要していたのに対して、10~18日の治療を84~168日間受けた。研究者らは、標準療法による従来の臨床試験結果と新しい治療法による生存率を比較した。

3年の平均追跡期間における467人の幼児と小児の生存率は96%であった。これは標準治療の大規模臨床試験の結果に匹敵もしくはそれ以上の結果である。さらに、心臓、腎臓、肝臓あるいは聴覚に毒性の影響が認められた患者は2%以下で、これは標準治療の場合と比べて良好なものである。

「われわれが常に努力をしている理論的枠組みは、治療負担を減らしながらできるだけ多くの子供を治癒させることである」と、この試験の筆頭著者であるオーストラリアのパースにあるプリンセス・マーガレット小児病院のDr David Baker氏はASCOの記者会見で語った。「これはその目標を達成するのに大きな役割を果たす。」

腎臓癌患者はアバスチンによって恩恵を受ける

ベバシズマブ〔bevacizumab〕(商品名:アバスチン〔Avastin〕)は、これまで治療が難しいとされてきた進行腎臓癌の患者にとって、近年、第4の分子標的薬である。ASCO年次総会で発表された最終段階のランダム化試験により、ベバシズマブとインターフェロンの併用療法はインターフェロン単独やプラセボに比べてより効果があることが判明した。ベバシズマブを加えることで重大な新たな毒性を伴うことなしに、病状の進行が5.4ヶ月から10.2ヶ月とほぼ2倍遅くなった。

この試験が開始された時、インターフェロンは進行性腎癌の標準治療であった。しかし昨年、スニチニブ〔sunitinib〕(スーテント〔Sutent〕)、ソラフェニブ〔sorafenib〕(ネクサバール〔Nexavar〕)、テムシロリムス〔temsirolimus〕(トリセル〔Torisel〕)の3つの分子標的薬が腎臓癌の新薬として20年ぶりに開発されたことで標準治療が変わってきた。この新しい結果は、進行結腸直腸癌と非小細胞肺癌に認可されているベバシズマブが腎臓癌に対しても有効である事を初めて示したものである。

「ベバシズマブとインターフェロンの併用療法は予想した以上に効果がある」と、主任研究員であるフランスにあるGustave Roussy研究所のDr Bernard Escudier氏は語った。「われわれは他の治療法と比較研究をする必要がある。」今後数年にわたり、ベバシズマブは単剤で他の治療法との比較試験が行われるであろうと彼は語った。

649人の患者が参加した試験の奏効率は、ベバシズマブ投与群は31%であったのに対しプラセボ群は13%であった。中間解析で明らかな効果が示された後、全ての患者にベバシズマブ併用療法が提示された。予備データでは、ベバシズマブは生存を延長させるであろうことが示されているが、追加試験が必要である。

分子標的薬の併用は、患者にとって最大の効果を達成するために必要となるであろう。このような目的で、初期ステージの臨床試験がASCOで発表されたことは、何人かの患者はスニチニブとベバシズマブの併用療法に耐えたことを示している。投与量に関する情報が明らかになった段階で、この併用療法は他の癌と同様に転移性腎細胞癌における第2相試験として相応しいものとなるであろうと研究者らは語った。

セツキシマブにより再発頭頸部癌患者の生存が延長

上皮成長因子受容体をターゲットとするモノクローナル抗体であるセツキシマブ〔cetuximab〕(アービタックス〔Erbitux〕)は、複数の種類の頭頸部癌の治療に効果があることが証明された。この薬は、昨年、FDAより進行性の頭頸部扁平上皮癌(SCCHN)の第一治療薬として認可された。先週のASCO会議で研究者らは、ヨーロッパでのEXTREME試験結果を発表した。そして、セツキシマブはSCCHNが再発あるいは転移した時にも治療薬としての役割を果たす蓄積された証拠を付け加えた。

筆頭著者であるベルギーのアントワープ大学のDr.Jan B Vermorken氏は、21%リスクが低下したセツキシマブ投与群の患者は10.1ヶ月生存し、標準治療群の患者より2.7ヶ月延命したと、セツキシマブが生存期間の延長に寄与したという発表をおこなった。これは、「再発あるいは進行性SCCHN患者を対象とした大規模臨床試験で、これまでにない最長のものである。」20年以上もの間、頭頚部癌患者の治療状況は停滞したままであった。再発あるいは転移性SCCHN患者は通常白金製剤ベースの緩和的化学療法を受けており、時には治癒を目的とすることもあるが、6~7ヶ月以上生存することはほとんどない。

442人の患者全員が、5-フルオロウラシルにカルボプラチンあるいはシスプラチンを併用する化学療法を6サイクルまで投与される標準療法を受けた。セツキシマブ実験的投与群は、病状の進行あるいはセツキシマブが許容不可な毒性レベルに達するまで投与された。セツキシマブの最も一般的な副作用は管理可能な発疹であった。

サメの軟骨は肺癌には効果がない

癌治療薬としてのサメの軟骨を厳格に評価する臨床試験により、サメの軟骨は患者に利益をもたらさない事が明らかとなった。化学療法や放射線治療に加えてAE-941(Neovastat(〔ネオバスタット〕)を服用している肺癌患者は、服用していない患者より長期生存することはなかった(約15ヶ月)と、研究者らがASCO年次総会で発表した。この最終ステージ臨床試験はNCIが共同提案者となり384人の患者が参加していた。

多くの癌患者が、十分な科学的検査されておらず、また、従来の治療法に相互作用をもつかもしれない自然製品を用いていることを医師は認知している。軟骨の試験は、製薬として開発され標準の臨床試験を通過した自然製品が癌患者にとって有益なものであるかどうかを調べるためにデザインされた。店頭やインターネットで売られている商品とは異なり、AE-941は臨床試験においてのみ使用可能であった。

早期のテストでは、この薬剤は腫瘍に栄養を運ぶ血管の成長を阻害するかもしれないことが示されていたが、結局、その結果は否定された。「AE-941は肺癌に効果的な治療薬ではない」と、臨床試験責任医師であるテキサス大学MDアンダーソンがんセンターのDr Charles Lu氏は語った。

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Nogawa 訳
九鬼 貴美(腎臓内科医) 監修

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