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2007/05/15号◆癌研究ハイライト

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2007/05/15号◆癌研究ハイライト

同号原文

NCI Cancer Bulletin2007年5月15日号(Volume 4 / Number 17)
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◇◆◇癌研究ハイライト◇◆◇

近年のマンモグラフィー検診率低下による懸念

Cancer誌の電子版で先行して発表された全国調査データの解析によると、米国における近年のマンモグラフィー検診率低下が将来的に乳癌死の増加を導きうることから懸念を呼んでいるという。

NCI癌制御人口学部門(Division of Cancer Control and Population Sciences:DCCPS)のNancy Breen医師率いる科学者らは、疾病予防管理センター(CDC)のNational Health Interview Survey(NHIS)データを調査し、2005年のマンモグラフィー検診率が2000年との比較において70%から60%に低下していることを確認した。マンモグラフィー実施はここ何年も増加していたが、「一部地域のデータですでに観察されていたことが全国的にも認められた。マンモグラフィー実施は低下している可能性が確認された。わずかながらこの減少は、方向性が変わる徴候として懸念の種である。」

マンモグラフィー検診率は、調査したほぼ全ての女性群において2000年よりも2005年のほうが低かった。“最大かつ有意な低下が認められたのは、従来は高い割合でマンモグラフィーを行っていた50~64歳の高所得者の女性と、40~64歳の民間のHMOでない保険に加入している女性であった”とDCCPの研究者らは述べた。

スクリーニング率が低下すると、乳癌女性の診断が遅れることとなり罹患率が短期的に低下すると、彼らは付け加えた。「このため、観察されている罹患率低下の一部は、マンモグラフィー検診率の横ばい状態や低下が原因である可能性があることが懸念される。」より進行した癌を後に発見することになるため、この傾向は「乳癌死亡率が将来的に上昇する予兆である可能性がある。」“NHISデータがこの先もマンモグラフィー実施の低下を示し続けるなら、国家としてその問題に取り組む必要がある”、とNCIの研究者らは結んだ。

最近の乳癌罹患率低下を調査した別の試験がBreast Cancer Research誌3月3日号に掲載された。アメリカ癌協会のAhmedin Jemal医師率いる研究者らは、NCIのSurveillance、 Epidemiology、 and End Results(SEER)プログラムのデータを分析した。

「乳癌の傾向に2つの明白なパターンが観察された」と彼らは報告した。年齢45歳を超える群における罹患率の低下はマンモグラフィー実施が増減ないことと一致しており、これは主として“診断未確定の患者群が減少している”ために罹患率が低下している。2002年から2003年にかけて、全例ではないがER陽性が大多数である50~69歳の乳癌女性で罹患率が急激に低下したことは、ホルモン補充療法実施が低下したことの早期ベネフィットを反映している可能性がある。NCIが出資し主導する研究に携わる多くの研究者らが、スクリーニングとホルモン療法に関する最近の変化が乳癌の傾向に及ぼす影響を現在調査中である。

HPVは口腔咽頭癌のリスク因子

ジョンズホプキンス大学の研究者らが主導する新しい疫学研究によって、ヒトパピローマウイルス(HPV)への曝露および感染が口腔咽頭癌の強力なリスク因子であることが示唆されている。New England Journal of Medicine誌5月10日号に掲載されたこのケースコントロール研究の結果によってHPV曝露と感染が、同疾患の他の2つの重要なリスク因子であるタバコや飲酒とは独立して口腔咽頭扁平上皮癌のリスクを増大させることが明らかになった。

研究者らは新たに口腔咽頭扁平上皮癌の診断を受けた100例と対照群200例を本試験に登録した。口腔粘膜と血清サンプルを全例から採取した。症例群からは腫瘍サンプルも採取した。研究者らはHPV DNAや、過去の曝露を示すHPV抗体の存在を調査するため全てのサンプルを解析した。口腔衛生上の記録、性交歴、マリファナ、タバコ、アルコールの生涯使用歴などを含めた、個人情報や医療記録を集積した。

研究者らは「口腔HPV16感染は、口腔咽頭癌発症と強く関連した」ことを明らかにした。HPV16は子宮頸癌との関連が深いHPVの2つの型のうちの1つである。血清サンプル中のウイルス抗体の存在で測定したHPV16への感染歴は口腔咽頭癌との間にも強い関連が認められた。HPV16の抗体は症例群の64%で確認され、対照群では4%のみであった。性交歴のデータによって口腔内のHPV感染は性交が原因であることが示唆されるが、口と口の直接的接触やその他の原因による感染を除外することはできなかった。

高度の喫煙・飲酒は依然として強力なリスク因子であるが、「HPVと高度喫煙・飲酒への複合的曝露に相加作用はなかった」と彼らは説明した」。「タバコや飲酒といった従来のリスク因子がないにもかかわらず口腔咽頭癌のリスクにさらされることがあることを医療提供者が認識することは重要である」と筆頭著者であるGypsyamber D’Souza医師はプレス・リリースで述べた。

HPVワクチンの最新試験データ

全子宮頸癌の原因の70%を占める2種類のヒトパピローマウイルス(HPV)に対して予防効果をもつワクチンであるガーダシル(Gardasil)に関する試験FUTUREIと FUTUREIIの平均3年間の追跡結果がNew England Journal of Medicine誌5月10日号に発表された。FUTUREII試験の初期の結果により2006年6月にガーダシルはFDA承認を受けた。

FUTUREI試験では、年齢16~24歳の女性5455例をガーダシルワクチン3回接種とプラセボに割り付けた。HPV16または18への曝露歴がない女性では、ワクチンのHPV型が関与する膣・外陰部・会陰・肛門周辺の上皮内病変やいぼに対するワクチンの予防効果は100%である。

HPV16、18曝露歴のある女性を含めたintention-to-treat解析におけるワクチンの有効性は、このHPV型が関与する全てのグレードの肛門、性器や膣外部病変に対して73%、全てのグレードの子宮頸部病変に対して55%であった。

FUTUREII試験では、年齢15~26歳の女性12167例をガーダシル3回接種またはプラセボにランダムに割り付けた。HPV16、18への曝露歴のない女性では、このHPV型が関与するグレードの高い子宮頸部上皮内癌を98%予防した。

HPV16、18曝露歴のある女性を含めたintention-to-treat解析におけるワクチンの有効性は、HPV16、18を原因とするグレードの高い子宮頸部病変に対して44%であった。FUTUREI試験でみられたように、「ワクチン接種はHPV16やHPV18が関与する子宮頸部病変の経過や、ランダム化割り付け時に存在した感染の経過を変化させないと思われる」と著者らは述べた。

そのワクチンに含まれていない型のHPVが原因で発症した病変も含め、HPV曝露歴に関わらず、全ての患者の子宮頸部病変発症率がワクチンによって17%低下した。「FDAに提出されたワクチン試験データの中間解析結果によれば、ワクチンを接種した女性において、ワクチンに含まれていないHPV型が関与するグレード2、3の子宮頸部上皮内癌の発症数に有意ではないものの差がみられた。」と、サンフランシスコ州カリフォルニア大学のGeorge Sawaya医師とKaren Smith-McCune医師が論説欄に記した。「ワクチンに含まれていない型のHPVを原因とする浸潤前病変発生率へのワクチン接種の影響を検討するうえで、進行中の本試験の最新データを解析することが重要となろう。」

HPVワクチンと子宮頸癌に関するNCIの関連情報は以下を参照のこと。
http://www.cancer.gov/cancertopics/hpv-vaccines

C型肝炎による非ホジキンリンパ腫(NHL)発症リスクの増大

大規模後ろ向きコホート研究によって、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染した米国退役軍人においてある種のリンパ腫発症リスクが増大していることが明らかになったと、Journal of the American Medical Association誌5月8日号に発表された。

NCIの癌疫学・遺伝学研究部門(Division of Cancer Epidemiology and Genetics:DCEG)のEric Engels医師と共同研究者らは1997~2004年の米国退役軍人病院の患者記録に注目した。研究者らはHCV感染のある146394例と、感染のない572293例を選んだ。研究者らは2群のコホートを年齢、性別、ベースラインの訪問日、入院・外来が同様な2群のコーホートを選んだ。

HCV感染のある患者は非ホジキンリンパ腫(NHL)のリスクが20~30%高く、まれなNHLであるヴァルデンストレームマクログロブリン血症の発症リスクが約3倍近かった。さらにHCV感染患者では、血中のある種のタンパク濃度異常で特徴付けられるクリオグロブリン血症のリスクが増大していた。

「これら知見の臨床的有意性については不明であるが、HIV感染者のスクリーニングが、前癌状態に対する予防的治療などに適した初期リンパ球増殖状態を検出できる可能性がある。HCVとNHLの関連をさらに探索するため、疫学的・病態生理学的研究が今後必要である。」と研究者らは述べた。

カリフォルニア在住癌患者における支援グループ利用に関する調査研究

NCI研究者によると、癌と診断された患者の4人に1人はある時点で支援団体に参加することが報告された。しかしそのうち半数のみが癌に関連した問題が原因となって参加する。いずれにしても、23.7%という癌生存者の支援団体参加率は、別の慢性疾患の患者の支援グループ参加率である14.5%をはるかに上回っていた。

これらはCancer誌に5月14日にオンラインで発表されるNCIの研究結果である。NCI癌生存者オフィス(Office of Cancer Survivorship)のジュリア・ローランド医師らは、支援団体を利用している患者のうち78.4%が明らかな利益を得ていることを考慮すると、支援団体を利用している癌患者のうち、担当医から勧められたのはわずか10.2%であったことに驚いている。

支援団体の利用および患者が認識している利益は癌の発生部位によって大きく異なる。約26%の乳癌患者は支援団体参加経験があり、そのうち78%は参加による利益を認識している。白血病およびホジキンリンパ腫の患者の参加率が最も高く41%で、そのうち93%が参加による利益を認識している。肺癌患者の参加率は1%以下で、参加による利益を認識している率が最も低いのは皮膚癌患者であり、35%であった。

本研究はカリフォルニア州代替医療健康インタビュー調査に登録された9,187人を対象に行われた電話調査によって実施された。調査には1,844人の癌患者、4,951人はその他の慢性疾病の患者が参加した。

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大倉 綾子、佐々木 了子 訳
林 正樹 (血液・腫瘍医) 監修
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