2007/04/03号◆特集記事「MRIがほぼ全ての対側乳癌を検出」 | 海外がん医療情報リファレンス

2007/04/03号◆特集記事「MRIがほぼ全ての対側乳癌を検出」

更新日

Facebookでシェアする Twitterにツィートする LINEに送る print

2007/04/03号◆特集記事「MRIがほぼ全ての対側乳癌を検出」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2007年4月3日号( Volume 4 / Number 14)

NCIキャンサーブレティン顧問:古瀬清行
●2007/4よりNCI隔週発行となりました
____________________

◇◆◇特集記事 ◇◆◇

「MRIがほぼ全ての対側乳癌を検出」

片側乳房に新規乳癌が診断されたのちの標準的精密検査に、磁気共鳴画像診断装置(MRI)の検査を追加すると有意にベネフィットが得られることが新たな研究によって示された。

NCIが出資したAmerican College of Radiology Imaging Network (ACRIN)の研究者らは、新たに診断された乳癌女性969例の対側乳癌をMRIで検査したところ、3.1%の患者において、対側乳房の癌が標準的なマンモグラフィーと臨床的乳房検査では発見できなかったことを明らかにした。また、対側乳房に対するMRI検査の結果が陰性であった患者が次の年にその乳房に癌が発見される可能性はほとんどなかった (0.3%) と3月29日のNew England Journal of Medicine誌に発表された。

MRIは91%の感度(真に発見された癌の割合)、88%の特異度(真に陰性であった割合)を示し、MRIの有効性は患者の癌種、年齢、乳腺密度の影響を受けなかった。

「最初の乳癌診断時に、ほとんどの対側乳癌を発見することが可能になるだろう」と本研究の責任者であるワシントン大学Seattle Cancer Care Alliance の放射線学の教授で、乳房画像診断部長であるConstance Lehman医師は語る。

この時点で対側乳房の癌を発見することは、治療が増えたり、治療が遅れたりすることによるストレスを回避するのに役立つであろうと、Lehman医師は語る。マンモグラフィー、臨床検査、MRIによる対側乳癌陰性の結果によって、女性らが予防的な両側乳房切除術を控えるという結果につながるかもしれない、「われわれが期待する潜在的なアウトカムである」と、彼女は付け加えた。

NCIが出資したこの試験は、このテーマに関する、この規模では初の試験であり、専門医療センター、地域病院、開業医のもとで治療を受ける患者を含む1000例を超える患者を登録している。同時にMRIを行うことで、精密検査で対側乳癌が見つかる数は通常の倍となった。MRI所見が生検につながった121例中、30例が癌と診断された。このうち60%は浸潤癌であり、残りは非浸潤性乳管癌(DCIS)で、他の組織へ浸潤していないが末期浸潤性腫瘍に進行しうる乳管内の異常細胞塊であった。

さらに3つの腫瘍(すべて5mm未満のDCIS)が乳房の切除組織の解析によって発見された。

MRI所見に基づいて生検を行った4例中1例が癌であったことは重要な知見であるとNCI Cancer Imaging Program’s Diagnostic Imaging Branch のチーフであるCarl Jaffe医師は語る。従来のマンモグラフィーではその割合は通常6例中1例ほどである。

「マンモグラフィーと比較してMRIははるかに癌の発見に特異的である。」Jaffe医師は語る。「この対側乳房は、マンモグラフィーと臨床検査では陰性とされていただろう。疾患の広がりに関して不完全な情報に基づいて女性たちの治療計画が立てられてしまったであろうことから、この知見は重要なもので、これが、本結果が特筆すべきものである理由である。」

南カリフォルニア大学ノリス総合がんセンター内Lee Breast Centerの共同部長であるChristy A. Russell医師は、本試験やその他の試験を、新規乳癌発症女性の診断に関する総合ガイドライン作成の際に検討すべきであると述べた。

「われわれが、本試験ならびにわれわれの新しいACSガイドラインにおいて求めるものは、MRIの使用によって、非常に高リスクで、かつマンモグラフィーの有用性が低い可能性がある女性や、新たに乳癌と診断され、マンモグラフィーで発見できなかった同側乳房や対側乳房の癌をMRIで発見できるといった一部の女性におけるニーズを満たすことである」と、先週、MRIを用いた乳房検査を高リスク例に対して新たな推奨を発表したアメリカがん協会パネルの議長を務めるRussell医師は続けた(下記囲み記事参照)。

米国での乳房MRI実施はいまだ進展途上にあり、全ての臨床現場で実施可能な訳ではないこと、MRIがさらに広く使用されるにはいくつかの障害があることをJaffe医師とRussell医師は示唆した。

乳房検査に対するMRIの使用は増加したものの(例えばマンモグラムに異常がみられた後のフォローアップとして)、保険会社は対側乳房の検査にMRIを使用することを一般的には保障していない。しかしこのことは、これらの試験結果をうけて変化しうるであろう。

さらに、乳癌検査用にセットアップしたMRI機器(乳房「コイル」があり、生検可能)がより広く使用可能になる必要があると、Dr. Jaffeは指摘する。

質の高いスキャンを確保するために、診断的MRIを受ける女性は適切な乳房イメージング機能を備えたMRI機器のある施設に行くべきであると、Dr. Russell氏は忠告した。彼女は、生検可能かつ経験のある施設において検査してもらうべきであるとも述べている。

MRIにより疑いのある病変が発見された場合に、その施設に生検を行う設備がない場合、女性は他の施設を紹介してもらい、生検をガイドするため全ての画像診断を再度行う必要があると、彼女は述べた。

— Carmen Phillips

 

高リスク女性に対する年1回のMRI乳房検査の推奨ガイドラインアメリカがん協会 (ACS: American Cancer Society)の新ガイドラインが先週リリースされ、乳癌発症に高リスクである一部の女性ではマンモグラフィーと磁気共鳴画像診断(MRI)の両方を用いた検査を年1回行うことが推奨された。推奨によると、一部の女性では、両方の検査を年1回受けると早期発見の割合が高まる。このガイドラインはA Cancer Journal for Clinicians誌3月号に掲載。回避可能な生検や、恐怖、不安、健康への有害作用といったリスクを最小に抑えるため、「この技術を用いて検査すべき女性を注意深く選択しなければならない」と、ACS専門委員会の議長である Christy Russell医師は述べた。

女性が次の因子を有する場合、年1回のMRI検査やマンモグラムを受けるべきであるとガイドラインは推奨している:BRCA1またはBRCA2異常や、第一度近親者 [親、子、兄弟、姉妹]にBRCA1またはBRCA2異常者があり、一般的に認められているツールの1つで評価した生涯乳癌リスクが20~25%以上、10~30代における胸部への放射線照射歴、Li-Fraumeni 症候群、Cowden症候群、Bannayan-Riley-Ruvalcaba症候群、または第一度近親者におけるこれらの症候群罹患歴。

MRI乳房検査は、乳房コイルを備え、一定の性能パラメータに適合した機器を用いて実施すべきであることが推奨に含まれている。また「MRIガイド下生検を実施する能力は、スクリーニングを提供するために絶対に不可欠である」ともある。

************
Okura 訳
平 栄 (放射線腫瘍医)監修
************

 

printこの記事を印刷する Facebookシェアする Twitterツィートする LINE送る

免責事項当サイトの記事は情報提供を目的としてボランティアで翻訳・監修されています。翻訳の記事内容や治療を推奨または保証するものではありません。

注目キーワード

新着ドキュメント

一覧

週間ランキング

  1. 1乳がん化学療法後に起こりうる長期神経障害
  2. 2非浸潤性乳管がん(DCIS)診断後の乳がんによる死亡...
  3. 3がんに対する標的光免疫療法の進展
  4. 4若年甲状腺がんでもリンパ節転移あれば悪性度が高い
  5. 5BRCA1、BRCA2遺伝子:がんリスクと遺伝子検査
  6. 6「ケモブレイン」およびがん治療後の認知機能障害の理解
  7. 7治療が終了した後に-認知機能の変化
  8. 8リンパ腫患者の余命は、診断後の無再発期間2年経過で通...
  9. 9コーヒーが、乳がん治療薬タモキシフェンの効果を高める...
  10. 10ASCO、がん臨床試験に対する適格基準の緩和を推奨

お勧め出版物

一覧

arrow_upward