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2007/01/16号◆特集記事「分子標的薬が腎癌の進行を遅らせる」

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2007/01/16号◆特集記事「分子標的薬が腎癌の進行を遅らせる」

同号原文

NCI Cancer Bulletin2007年01月16日号(Volume 4 / Number 3)
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特集記事

分子標的薬が腎癌の進行を遅らせる

分子標的薬であるスニチニブ(スーテント)とソラフェニブ(ネクサバール)は、腎癌の進行を既存の治療より3~6ヶ月遅らせる事が出来るとの最終臨床試験結果が、New England Journal of Medicine (NEJM)誌1月11日号に発表された。

この結果は、更に、抗癌剤の開発の「合理的な」アプローチが長期間にわたってどのように成功することが出来るかを示している。腎癌にとっては1980年代以来の新薬であるスニチニブとソラフェニブは、腫瘍に栄養を運ぶ新しい血管の成長(血管新生)を阻害する。

1990年代の米国国立癌研究所の研究やその他の施設における研究では、もっとも一般的なタイプの腎癌である腎淡明細胞癌の大多数は、癌抑制遺伝子VHLに突然変異を起こしているとしていた。そしてこれらの突然変異が血管の増殖を引き起こす。

初めてテストされた血管新生阻害剤は、血管内皮増殖因子(VEGF)を阻害する事で血管新生をブロックするベバシズマブ(アバスチン)だった。小規模な試験によりその概念が正しい事が実証された後、スニチニブとソラフェニブの試験が試みられた。

「これらの試験は、アバスチンによる初期のアプローチの継続と全体の概念の検証を意味している」と、ソラフェニブ試験の共同研究者であるクリーブランド・クリニックのRonald Bukowski医師は語った。

スニチニブとソラフェニブは、血管内皮増殖因子受容体2を含むいくつかの血管新生因子の受容体を阻害する。これらの薬は経口薬であり、患者は自宅で服用する事が出来る。

「2つの臨床試験の有意義な結果は、私たちが腎癌の目標とした治療への正しい道を進んでいる事を確認するものである」と、スニチニブ試験を行ったスローン・ケタリング記念癌センターのRobert J Motzer医師は語った。

「スニチニブ試験は腎癌の標準治療を変えた。そしてそれはこの20年で初めてのことだ。」とMotzer医師は語った。彼は昨年の6月に開催された全米臨床腫瘍学会年次総会でそのデータを発表した。

この試験は、淡明細胞型腎細胞癌の第一選択治療薬としてスニチニブとインターフェロンを比較したものであった。スニチニブ群の無増悪生存期間は11カ月であったのに対して、インターフェロン群は5カ月であった。

前治療に失敗した淡明細胞型腎細胞癌患者に対して、ソラフェニブとプラセボ(偽薬)の比較が行われた。ソラフェニブは、無増悪生存期間を2倍にした(ソラフェニブ投与群5.5カ月に対してプラセボ群2.8カ月)。

これらの薬は患者の生存期間を延長する助けをするようではあるが、平均余命は薬の毒性に影響されるかもしれないかどうかを確証することが重要でしょうと、NEJM誌の付随論説の筆者であるテキサス大学サウスウエスト・メディカル・センターのJames Brugarolas医師は語った。

どちらの薬も下痢、皮膚発疹、高血圧といった副作用を伴った。患者によっては、その毒性は深刻であった。

2つの臨床試験は、合理的な創薬デザインの利点を実証する、とBrugarolas医師は記した。腎癌の生物学についてのよりよい理解は、血管新生を阻害する事が腫瘍成長に影響するかもしれないという仮説に結びつき、そして、それが真実である事が判明した。

「結果として3つの新薬が完成し、これは注目すべき成功物語である」とBrugarolas医師は、3番目の薬であるテムシロリムスが米国食品医薬品局の認可を勝ち取るだろうと述べた。

次の試みは、これらの薬を併用で用いるか、あるいは、ある順番で連続に服用する事が患者の利益を得るかもしれないかどうかを知る事である。

「これらの薬は腎癌に対する大きな前進である」とBukowski医師は語る。そして、「これらの新薬を、どのように最も有効的に使用するかは私たち次第である」と語った。

—Edward R Winstead

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Nogawa 訳

榎本 裕(泌尿器科)監修

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