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同種幹細胞移植は、高齢の骨髄異形成症候群(MDS)患者の生存率を改善

  • 2020年12月21日
  • 発信元:ダナファーバーがん研究所

同種幹細胞移植は、高齢の高リスク骨髄異形成症候群(MDS)患者の生存率を改善できるという、これまでで最も有力な証拠が新たな臨床試験結果で示された。ダナファーバーがん研究所の研究者らが、第62回米国血液学会(ASH)バーチャル年次総会で報告する。

移植は現在、骨髄異形成症候群(MDS)に治癒をもたらす唯一の治療法であり、若年患者に広く使用されているにもかかわらず、高齢患者集団での有益性が証明されていないため、一般的に高齢患者には提供されていない。血液・骨髄移植臨床試験ネットワークによって実施された今回の新しい試験は、このことを変える可能性があると研究主任らは言う。全米34の医療センターで384人の患者が参加した本試験により、適合するドナーから造血幹細胞を移植することで50〜75歳の患者の生存率がほぼ2倍となることが示された。

「この患者群では、これまで移植が十分に活用されてきませんでした。私たちの調査結果によると、すべての患者は少なくとも移植センターに紹介されるべきです。そうすれば、移植を受ける条件を満たし、かつ適合するドナーのいる人は移植を受け、よりよい生存期間を得ることができます。移植センターが最初から適合するドナー探しに取り組めるように、これらの患者を早期にセンターに紹介することが重要です」と、研究の統括著者であるダナファーバーがん研究所のCorey Cutler医師(王立カナダ内科大学フェロー、公衆衛生学修士)は述べた。

骨髄異形成症候群は、骨髄の造血細胞に異常が発生し、異常血球が産生される疾患群である。患者の約3人に1人の割合で、骨髄異形成症候群は急性骨髄性白血病(急速に増殖する骨髄細胞のがん)に進行する可能性がある。

同種造血幹細胞移植は、患者の異常な造血幹細胞を、適合するドナーからの健康な造血幹細胞に置き換えるものである。この治療方法は高齢患者での有益性が証明されていないため、承認された研究の一部として行われない限り、65歳以上の患者にはメディケア(Medicare:米国の高齢者向け医療保険制度)が適用されない。メディケアは今回の試験計画を承認しており、今後の支払い方針を決定する際に本研究結果を考慮することが期待されている。

同試験への参加者は、移植センターに紹介され、各センターが適合する幹細胞ドナーを探した。90日以内に適合ドナーが見つかった260人の患者は幹細胞移植を受けるように割り当てられた。 他の124人の患者は標準的な支持療法を受けた。

試験登録から約3年後、移植が割り当てられた患者の47.9%が生存していたのに対し、90日時点でドナーが見つからなかった患者の生存割合は26.6%であった。白血病の再発がなく生存していた割合についても、移植を割り当てられた群(35.8%)の方が割り当てられなかった群(20.6%)より高かった。研究者らによると、サブグループ間で有意差は認められず、2つの治療群間で生活の質に差は認められなかった。

Cutler氏は、この研究の結果を、12月4日(金)午後12時30分(米国東部標準時)に行われる「What’s on the Horizon:  Practice-Changing Clinical Trials(今後の展望:実践を変える臨床試験)」の記者会見で発表する。(セッション732、アブストラクト75)

翻訳畔柳祐子

監修吉原 哲(血液内科・細胞治療/兵庫医科大学)

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