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新型コロナウイルスは物体表面に何時間も残存

  • 2020年4月27日
  • 発信元:NIH(米国国立衛生研究所)

新型コロナウイルスの安定性はSARSウイルスと同等

概要:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を引き起こすウイルスは、エアロゾル内および物体の表面上で数時間から数日間安定して生存することが、米国国立衛生研究所(NIH)、米国疾病管理予防センター(CDC)、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)、プリンストン大学の研究者らによる新たな研究で示され、The New England Journal of Medicine誌に掲載された。研究者らは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2、新型コロナウイルスの正式名称)が、エアロゾル内で最大3時間、銅の表面で最大4時間、段ボールで最大24時間、プラスチックとステンレスではおよそ2~3日残存することを確認した。この研究結果により、新型コロナウイルス感染症を引き起こすSARS-CoV-2の安定性に関する重要な情報が明らかになり、空気感染、およびウイルスに汚染された物に触れることによる接触感染の可能性が示唆される。本研究結果は、研究者間でデータを素早く共有するために査読前の論文を掲載するプレプリントサーバーで公開され、この2週間で幅広く共有された。

米国国立アレルギー感染症研究所傘下のモンタナ州ロッキーマウンテン研究所に所属するNIH研究者らは、SARS-CoV-2とSARS-CoV-1(重症急性呼吸器症候群(SARS)を引き起こすウイルス)への環境の影響を比較した。SARS-CoV-1は、現在世界中で蔓延しているその後継ウイルスと同様に、中国から発生し、2002年と2003年に8,000人以上が感染した。SARS-CoV-1は、接触者の徹底的な追跡と陽性者の隔離対策によって根絶し、2004年以来、症例は確認されていない。SARS-CoV-1は、SARS-CoV-2と最も近縁なヒトコロナウイルスである。今回の安定性に関する研究では、これら2つのウイルスは類似した挙動を示したが、残念ながら新型コロナウイルス感染症がSARSをはるかに上回る規模で大流行している理由を説明することはできない。

この研究では、感染者が自宅や病院で咳をしたり物に触れたりすることで、日常的に使用される物の表面にウイルスが付着する様子を再現しようとした。また、研究者らは、物体の表面でウイルスが感染力を維持し続けた期間を調べた。

研究者らは、本研究で得られた新たな2つの見解を強調した。

・2つのコロナウイルスの生存能力が同等なのであれば、SARS-CoV-2の感染者数が多い理由は何か。最近のエビデンスでは、SARS-CoV-2に感染した人々が、症状に気づかず、または気づく前に、ウイルスを拡散している可能性が示唆されている。これにより、SARS-CoV-1に対して効果的であった疾病対策が、後継ウイルスであるSARS-CoV-2に対しては効果が低いと考えられる。

・SARS-CoV-1とは対照的に、SARS-CoV-2のウイルス感染による二次症例は、総じて医療現場ではなく地域社会で発生しているようである。ただし、医療現場でもSARS-CoV-2の移入や伝播が起こりやすく、SARS-CoV-2がエアロゾル内や物体表面で安定していることが、医療現場でのウイルス感染の一因となっている可能性が高い。

今回の研究結果は、SARS-CoV-2の蔓延防止のためには、インフルエンザやその他の呼吸器ウイルスと同様に、以下の公衆衛生の専門家による 予防策『CDC:自分自身と他の人を守る方法』(日本語)を励行する重要性を強調するものである。

・具合の悪い人との濃厚接触を避ける
・目、鼻、口に触れない
・体調不良の時は自宅にいる
・咳やくしゃみをする時はティッシュで覆い、使用済みのティッシュはゴミ箱に捨てる
・頻繁に触れる物やその表面を、通常の家庭用洗浄スプレーや除菌シートで洗浄および消毒する

論文:N van Doremalen, et al. Aerosol and surface stability of HCoV-19 (SARS-CoV-2) compared to SARS-CoV-1. The New England Journal of Medicine. DOI: 10.1056/NEJMc2004973 (2020)

責任者:米国国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長のAnthony S. Fauci医師と、同研究所ウイルス学研究室の主任研究員であるVincent Munster博士が、本研究に関する取材や問い合わせに応じる。

本メディア発表では、基礎研究の成果を紹介する。基礎研究は、人間行動や生物学に対するわれわれの理解を深め、疾病の予防法・診断法・治療法の開発や改良を推進する基盤となる。科学とは予測不能であり、少しずつ進歩するものである。つまり、あらゆる研究の進展が過去の発見に基づいており、思わぬ形で関連していることも多い。根本的な基礎研究の知識がなければ、臨床の進歩の大半が存在しえないのである。

NIAIDはNIH、米国全土、および世界中で研究を実施し、研究支援も行っている。感染症や免疫介在性疾患の原因究明と、これらの疾患に対するより優れた予防法・診断法・治療法の開発を目的としている。ニュースリリース、ファクトシート、およびその他のNIAID関連資料は、NIAIDのWebサイトで入手できる。

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翻訳水町敦子

監修北丸綾子(分子生物学/理学博士)

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