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低酸素誘導因子(HIF)-2α阻害薬が進行腎臓がんに有望

新薬にノーベル賞を受賞した研究結果を活用

科学者たちは、淡明型腎細胞がん(ccRCC)の主要なドライバー分子を標的とする新薬が転移がん患者に有望であることを報告している。

ダナファーバーがん研究所の研究者たちは、腎腫瘍を促進する新生血管の成長を活性化させる低酸素誘導因子(HIF)2-aを標的とした画期的医薬品を経口投与すると、全リスク区分の患者で24%の奏効率であることを報告する。

MK-6482として知られる薬剤による治療の結果がASCO 2020泌尿生殖器がんシンポジウム(ASCO 2020 Genitourinary Cancers Symposium)で第1/2相試験の抄録で発表される。この試験結果をもとに第3相試験が開始されている。

「高リスク、中間リスク、低リスクの全リスク区分で24%の全奏効率を示した単剤で使用する新薬は、極度の難治性患者集団においてかなり有望である」と抄録の筆頭著者のToni Choueiri医師は語った。Choueiri医師はCenter for Lank Center for Genitourinary Oncologyのセンター長でハーバード大学医学大学院Jerome and Nancy Kohlbergの医学教授である。

本薬剤は、酸素濃度を感知して、赤血球を増生し、新しい血管を形成することにより体が低酸素状態(酸素不足)に適応することを可能にする遺伝子を刺激する体のメカニズムの要素を標的にする。ダナファーバーがん研究所の科学者でChoueiri医師のメンターであり共同研究者のWilliam G. Kaelin Jr.医師は、この複雑なメカニズムを解明して、その他二人の研究者と共に2019 年ノーベル医学賞を受賞した。このメカニズムはがんによってハイジャックされ、腫瘍が生存し増殖することを可能にしている。

淡明型腎細胞がん患者の大多数は、フォンヒッペル・リンドウ(VHL)として知られる腫瘍抑制タンパク質が機能しない。その結果、低酸素誘導因子(HIF)タンパク質が腫瘍細胞内に蓄積し、酸素が不足しているという誤った警告を出し、血管形成を活性化し腫瘍の増殖を促進している。このような異常な過程を理解することは、がん新薬(その一つがMK-6482であり、HIF-2aを直接標的にし、がん細胞の成長、増殖、および異常な血管増殖を抑えるという点で他の薬剤と異なる)への道を開く。

MK-6482の試験には、これまでに平均して3次治療までを受けた進行淡明型腎細胞がん患者55人が参加した。

中央値13カ月の経過観察後の全奏効率は24%であった。41人の患者は病勢が安定しており、病勢コントロール率(完全奏効+部分奏効+安定)は80%であった。低リスクの患者4人のうち2人、中間リスクの患者40人のうち10人、高リスクの患者10人のうち1人に部分奏効が見られた。

奏効期間中央値は未達であり、患者の81%は奏効期間が6カ月以上と推定され、患者16人が12カ月以上治療を継続した。無増悪生存期間の中央値は11カ月であった。

執筆者たちは、MK-6482の安全性プロファイルが良好で忍容性が良好であり、様々なリスク区分において濃厚な前治療を受けた淡明型腎細胞がん患者に効果が期待できる単剤の活性を示していると結論を示した。

抄録(Abstract 611)の発表は、カリフォルニア州サンフランシスコのMoscone West Building で2020年2月15日午前8時(太平洋標準時)に行われる、ASCO 2020泌尿生殖器がんシンポジウム のOral Abstract Session C:腎細胞がん(Renal Cell Cancer)で予定されている。

本研究は、米国ニュージャージー州Kenilworth のMerck Sharp & Dohme Corp.(Merck & Co., Inc.の子会社)により資金提供を受けている。Choueiri医師は免疫チェックポイント阻害薬のバイオマーカーの出願中特許を所有している。Choueiri医師の開示には以下からの助成金、個人的収入または非財政支援が含まれる:Agensys、Alexion、Alligent、 Analysis Group、AstraZeneca、Bayer、Bristol-Myers Squibb、Calithera、Cerulean、Clinical Care Options、Corvus、Eli Lilly、Esai、Exelixis、Foundation Medicine Inc.、Genentech、Roche、F. Hoffman-La Roche、GlaxoSmithKline、Heron Therapeutics、Harborside Press、American Society of Medical Oncology、Ipsen、NCCN、Kidney Cancer Journal、L-path、Merck、Michael J. Hennessy Associates、Research to Practice、Navinata Healthcare、NEJM、Novartis、Peloton、Pfizer、EMD Serono、Platform Q、Prometheus Labs、Sanofi/Aventis、Takeda、Tracon、Pionyr、Tempest、The Lancet Oncology、Up-to-Date。

翻訳松長愛美

監修榎本裕(泌尿器科/三井記念病院)

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