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運動は進行大腸がん患者に有益

・転移のある進行大腸がん患者の生存と身体活動との関連性を探る初の研究
・低強度の運動でも無増悪生存期間が改善

化学療法を受けている転移を有する大腸がん患者で、中強度の運動を行っている場合、疾患の進行が遅く治療による重度の副作用が少ない傾向にあることが、新規研究で明らかになった。

ダナファーバーがん研究所/ブリガム&ウィメンズ病院の研究者らは、6年にわたる研究で、1週間に4時間以上の歩行など低強度の運動でも、がんの進行または死亡が20%近く低下したことをJournal of Clinical Oncology誌で報告した。強度の高い身体活動を報告した患者ほど生存期間が伸びる可能性が分析から示唆されたが、データに統計学的有意性は認められなかった。

「なんらかの運動を行った人では、無増悪生存期間(PFS)が統計学的に有意に改善したことがわかりました。全生存期間(OS)にも影響があるかもしれませんが、統計学的に有意ではありませんでした。さらに研究する必要があります」と、研究の統括著者であるダナファーバーのJeffrey A. Meyerhardt医師/公衆衛生学修士は述べた。

「研究に参加した患者で身体活動が活発な方は、化学療法への忍容性も高いようでした。毎日30分以上の中強度活動に相当する総身体活動量は、重度の治療関連毒性27%減少と関連していました」と、ブリガム&ウィメンズ病院にホスピタリスト(病院総合医)として在勤中に本研究を実施した筆頭著者のBrendan Guercio医師は述べた。

これまでの研究から、定期的な運動によって、身体の他の部分に転移のない大腸がんでの再発や死亡のリスクを減少できることはわかっている。本研究は、転移のある進行大腸がんにおける生存と身体活動の関連性を初めて検証したものであると、研究者らは語る。進行大腸がんに対する化学療法の第3相試験(実施者:the Alliance for Clinical Trials in Oncology、治験依頼者:米国国立がん研究所)に参加した患者に対し、治療開始後1カ月以内に過去2カ月間の平均身体活動量に関する質問票回答を依頼し、最終的に1,218人の患者が参加した。今回の調査データは顕著なものであるが、ランダム化前向き試験でのさらなる研究が今回の結果を裏づけることになるだろうと研究者らは述べた。

患者の記述に基づき、運動の研究で用いる標準尺度である1週間当たりのMET(metabolic equivalent task:代謝当量)・時間で患者の身体活動を定量化した。高強度の活動(種類を問わず6METs以上の活動と定義)にはランニング、自転車に乗る、テニス、スキー、水泳など、高強度ではない活動には歩行、階段の昇降、ヨガなどがある。

データ分析から、無増悪生存期間(患者の質問票回答時からがんの進行または死亡までの期間)に統計学的有意差があることが明らかになった。無増悪生存期間の差はほぼ20%で、運動量が多い患者に好ましい結果であった。

この研究結果は「患者に運動を奨励し、理学療法やがん患者の小グループトレーニングを行うYMCA LIVESTRONGプログラムなどに参加するよう説明するのに役立ちます」とMeyerhardt医師は付け加えた。

分析より、1週間あたり18 MET・時間以上の活動を行った患者は、活動が1週間あたり3 MET・時間未満の患者よりも、全生存(全死因)が15%改善したことも明らかになった。ただし、その差は統計学的に有意ではなく、偶発的なものかもしれない。

本研究のすべての患者は化学療法を受けており、研究結果は運動を化学療法または他の標準療法の代用とするべきと示唆するものではない、と研究の著者らは述べた。

本研究およびMeyerhardt医師が受けた助成金は以下のとおりである。
Funding for this study was provided by: the National Institutes of Health under Award Numbers U10CA180821 (Alliance Chairman’s Grant to the Alliance for Clinical Trials in Oncology) and U10CA180882 (Alliance Statistics and Data Center Grant to the Alliance for Clinical Trials in Oncology), U10CA180791, U10CA180795, U10CA180826, U10CA180836, U10CA180838, U10CA180850, U10CA180867, UG1CA189858, UG1CA189869; U10CA180820 (ECOG-ACRIN); U10CA180888 and U10CA180830 (SWOG); R01CA149222, R01CA169141, R01CA118553, K07CA197077, R01CA205406, and CA180820; and the Stand-Up-to-Cancer Colorectal Dream Team Grant. Also supported in part by funds from Bristol-Myers Squibb, Genentech, Eli Lily and Company, Pfizer, and Sanofi. Meyerhardt is supported by the Douglas Gray Woodruff Chair in Colorectal Cancer Research Fund, the Guo Shu Shi Fund, Anonymous Family Fund for Innovations in Colorectal Cancer, and the George Stone Family Foundation.

翻訳松谷香織

監修野長瀬祥兼(腫瘍内科/市立岸和田市民病院)

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