FDAが白血病(CLL)および小リンパ球性リンパ腫にべネトクラックスを承認

2019年5月15日、米国食品医薬品局(FDA)は慢性リンパ性白血病(CLL)成人患者および小リンパ球性リンパ腫(SLL)成人患者にベネトクラックス(商品名:VENCLEXTA、AbbVie Inc.社およびGenentech Inc.社)を承認した。

本承認は、CLL14(NCT02242942)試験に基づいている。CLL14試験は、ベネトクラックスとオビヌツズマブとの併用(VEN+G)とオビヌツズマブとクロラムブシルとの併用(GClb) を比較した多施設共同非盲検、実薬対照ランダム化試験であり、合併症を有する治療歴のない慢性リンパ性白血病患者432人を対象とした。

独立判定委員会の評価による無増悪生存(PFS)を主要有効性転帰とした。本試験によりベネトクラックスとオビヌツズマブ併用(VEN+G)群の患者と、オビヌツズマブとクロラムブシル併用(GClb)群の患者を比較した場合、VEN+G群の患者において無増悪生存期間(PFS)が統計学的有意に延長されたことが示された(HR=0.33;95%CI=0.22, 0.51; p<0.0001)。中央値で28カ月の追跡期間が過ぎた時点でのPFS中央値は、両群で未到達であった。全奏効率は、VEN+G群では85%であったのに対し、GClb群では71%であった(p=0.0007)。また、本試験により、骨髄および末梢血において微小残存病変が陰性(白血球104個あたりCLL細胞1個未満)である確率に統計学的に有意な改善が認められた。この解析を行った時点で全生存データは確定していなかった。

慢性リンパ性白血病(CLL)成人患者および小リンパ球性リンパ腫(SLL)において、ベネトクラックスをオビヌツズマブあるいはリツキシマブと併用した場合、あるいは単独投与した場合に多く認められた有害反応は好中球減少、血小板減少、貧血、下痢、悪心、上気道感染、咳嗽、筋骨格痛、倦怠感、および浮腫であった。

VENCLEXTAの全処方情報についてはこちらを参照。

FDAは本申請に Real-Time Oncology Review and Assessment Aid Pilot Programを適用し、優先審査、およびオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)指定を付与した。承認は処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)の目標審査期間の3.7カ月前になされた。

翻訳担当者 三浦 恵子

監修 吉原 哲(血液内科/兵庫医科大学病院)

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