FDAが、17p欠失慢性リンパ性白血病にvenetoclaxを承認

速報

米国食品医薬品局(FDA)は本日、17p欠失といわれる染色体異常を有し、1回以上の治療歴がある慢性リンパ性白血病(CLL)患者の治療にvenetoclax(商品名:Venclexta)を承認した。Venetoclaxは、がん細胞の成長を促し、多くのCLL患者に過剰発現するB細胞リンパ腫2(BCL-2)タンパク質を標的とする初のFDA承認薬となる。

米国国立がん研究所(NCI)によると、CLLは成人で最も頻度の高い白血病の一種であり、毎年約15,000人が新たにCLLと診断されている。CLLは白血球の一種である異常リンパ球が蓄積し続けるという特徴がある。17p欠失のCLL患者はがんの成長を抑制する染色体の一部が欠損している。この染色体異常は未治療のCLL患者ではおよそ10%、再発CLL患者ではおよそ20%発生する。

「こうした患者には今、腫瘍細胞を活性化させるタンパク質を阻害する、新しい分子標的治療があります」と、FDA医薬品評価研究センター血液腫瘍製品室長のRichard Pazdur医師は言った。「これまで他の治療で良好な転帰がみられなかったCLL患者にとって、venetoclaxは特定の条件下で新たな選択肢となるでしょう」

Venetoclaxの有効性は、1回以上の治療歴がある17p欠失のCLL患者106人を対象とした単群臨床試験で評価された。試験参加者はvenetoclaxを毎日、初めは20mg、5週間かけて400mgまで増やしながら服用した。結果、試験参加者の80%にがんの完全寛解や部分寛解がみられた。

Venetoclaxは、FDA既承認のコンパニオン診断検出キットVysis CLL FISHの使用によって17p欠失が確認された後、毎日服用するよう指示されている。

Venetoclaxの最も頻度の高い副作用には白血球数の減少(好中球減少症)、下痢、悪心、貧血、上気道感染症、血小板数の減少(血小板減少症)、倦怠などがある。重篤な合併症として肺炎、発熱を伴う好中球減少症、発熱、自己免疫性溶血性貧血、貧血、また腫瘍崩壊症候群として知られる代謝異常が起こりうる。Venetoclaxを投与した患者には弱毒性生ワクチンを打つべきではない。

FDAはvenetoclaxの画期的治療薬の指定、優先審査品目への申請を承認し、この適応において迅速承認した。これらは、重篤で生命を脅かす疾患を有する患者に利益をもたらし得る、特定の新たな医薬品の開発および審査の促進を意図した差別化プログラムである。Venetoclaxはまた、希少疾病用医薬品の指定も受けた。これは希少疾患を対象とした医薬品開発を補助、奨励するために、税控除、ユーザーフィー(訳者注:新薬審査に必要であるとして当の製薬企業に拠出が求められる財源)の免除や独占販売権などの奨励が受けられる制度である。

Venetoclaxはイリノイ州ノースシカゴのAbbVie Inc社が製造しており、同社とカリフォルニア州南サンフランシスコのGenentech USA Inc社により販売される。Vysis CLL FISH診断キットはイリノイ州デス・プレーンズのAbbott Molecular社が製造している。

翻訳担当者 日ノ下満里

監修 北尾章人(血液・腫瘍内科/神戸大学大学院医学研究科)

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