NCI(米国国立がん研究所)がん研究ブログ

HLA遺伝子:免疫療法薬が必ずしもすべての人に有効ではない理由の画像

HLA遺伝子:免疫療法薬が必ずしもすべての人に有効ではない理由

毎年、何十万人ものがん患者がニボルマブ(販売名:オプジーボ)やペムブロリズマブ(販売名:キイトルーダ)といった免疫チェックポイント阻害剤の投与を受ける。にもかかわらず、免疫療法で用いられるこうした薬に多くの患者が奏効しない。 このたび米国国
再発卵巣がん患者の一部で手術が適切な選択肢となる可能性の画像

再発卵巣がん患者の一部で手術が適切な選択肢となる可能性

卵巣がん患者では10人中7人以上の割合で、初回治療後にがんが再発する。卵巣がんが再発した場合、患者は化学療法を再開する前に、がんをできる限り多く取り除くために追加の手術を受けることがある。 しかし、この追加の二次手術に延命効果があるかどうか
非ホジキンリンパ腫にCAR-T細胞療法をより早期段階で使用すべきかの画像

非ホジキンリンパ腫にCAR-T細胞療法をより早期段階で使用すべきか

免疫療法の一種であるCAR-T細胞療法は、血液腫瘍である非ホジキンリンパ腫(non-Hodgkin lymphoma:NHL)患者の一部の治療に使用されることが多くなっている。しかし現在のところ、CAR-T細胞療法は、患者がすでに数種類の治
機能評価ツールで高齢者のがん治療に伴う副作用を軽減の画像

機能評価ツールで高齢者のがん治療に伴う副作用を軽減

健康状態を測定する高齢者機能評価と呼ばれるツールが、進行がん治療を受ける高齢者の治療計画に重要な役割を果たすことが臨床試験の結果により明らかになった。この試験のなかで、高齢者機能評価に基づき治療を受けた高齢患者は重篤な副作用の発現が極めて少
液性診断により髄芽腫再発リスクの早期評価が可能にの画像

液性診断により髄芽腫再発リスクの早期評価が可能に

増殖が速く、小児期の代表的な悪性脳腫瘍である髄芽腫の治療を受けた小児のうち、約3分の1は腫瘍が再発する。しかし、医師が磁気共鳴画像法(MRI)や脊椎穿刺によってこのがんが再発したことを発見した時には、すでに治療困難な状態にまで進行しているこ
前立腺がん術後寡分割放射線照射の患者アウトカムは良好の画像

前立腺がん術後寡分割放射線照射の患者アウトカムは良好

前立腺がんの患者の多くは術後に、従来よりも短期間で集中的な放射線の照射が安全に受けられることが新たな研究で明らかになった。 大規模臨床試験で、5週間の短期治療を受けた人は、標準的な7週間の低集中的な放射線照射を受けた人と比較して、治療直後に
FDAが初の白血病(BCP-ALL)CAR-T細胞療法としてbrexucabtagene autoleucelを承認の画像

FDAが初の白血病(BCP-ALL)CAR-T細胞療法としてbrexucabtagene autoleucelを承認

血液腫瘍の一種である急性リンパ性白血病(ALL)の、最もよくみられる病型に罹患した成人患者は、初期治療が奏効しても再発することが多く、治療がまったく奏効しない患者もいる。このような患者については、CAR-T細胞療法と呼ばれる免疫療法が新たな
がんに関するソーシャルメディア上の誤情報への対応の画像

がんに関するソーシャルメディア上の誤情報への対応

あなたやあなたの大切な人が、がんと診断されました。医師との面談を終え、頭が混乱しています。あなたは参ってしまい、怯えています。 近頃多くの人がするように、あなたもインターネットやソーシャルメディアで情報を得ようとします。科学的に聞こえる記事
FDAがアテゾリズマブを非小細胞肺がんの術後免疫療法として初承認の画像

FDAがアテゾリズマブを非小細胞肺がんの術後免疫療法として初承認

米国食品医薬品局(FDA)は、免疫療法薬アテゾリズマブ (テセントリク)を、非小細胞肺がん(NSCLC)患者の一部に対する手術および化学療法後の追加(術後)治療として承認した。 この承認は、免疫療法が肺がん患者の術後療法として認められた最初
トラスツズマブ デルクステカンは一部の転移乳がんに好適な可能性の画像

トラスツズマブ デルクステカンは一部の転移乳がんに好適な可能性

新規分子標的薬であるトラスツズマブ デルクステカン(エンハーツ、T-DXd)が一部の進行の早い転移乳がん患者の無増悪生存期間を著しく延長したことが、新たな臨床試験結果で示された。 直接比較試験から、T-DXdはもう1つの分子標的薬であるトラ
リボシクリブとレトロゾールの併用で進行乳がんの生存が延長の画像

リボシクリブとレトロゾールの併用で進行乳がんの生存が延長

最もよくみられる転移性乳がんの治療においてCDK4/6阻害剤と呼ばれる薬剤の役割が、大規模試験で得られた最新の試験結果によりさらに明確になった。 MONALEESA-2と呼ばれる臨床試験で、進行乳がんの初回治療としてCDK4/6阻害剤である
米国女性に甲状腺がん診断数がなぜ急増しているかの画像

米国女性に甲状腺がん診断数がなぜ急増しているか

甲状腺がんの診断は、男性と比較して女性に多く、過去数十年の間にこの性差は大幅に拡大している。 しかし新たな研究により、この性差は表面的にみえているものとは異なることが判明した。8月30日、JAMA Internal Medicine誌に掲載
フォンヒッペル・リンドウ病に関連腫瘍の治療に承認されたBelzutifanの画像

フォンヒッペル・リンドウ病に関連腫瘍の治療に承認されたBelzutifan

まれな遺伝性疾患であるフォンヒッペル・リンドウ病(VHL)の患者は、腎臓、膵臓、脳、脊椎などの多臓器にがん性および非がん性腫瘍を発症するリスクが高い。医師は通常、手術によってこれらの腫瘍を切除してがんの転移を防ぐが、手術を重ねるごとに合併症
明るい展望が期待される小児がん治療の進歩の画像

明るい展望が期待される小児がん治療の進歩

2021年9月16日 Norman E. Sharpless医師 1982年にNCIの研究者Mariano Barbacid医師らによってNTRKという遺伝子が同定されました。この遺伝子は正常細胞をがん化させる可能性があります。その4年後に
乳がんの術式選択が若年サバイバーのQOLに影響する可能性の画像

乳がんの術式選択が若年サバイバーのQOLに影響する可能性

早期乳がんの若い女性が選択した手術の種類により数年後の生活の質に影響する可能性があることが新たな研究で明らかになった。 片側または両側の乳房を手術で切除した女性(片側または両側乳房切除術)は、腫瘍とその周辺の健康な組織のみを切除する手術(乳
抗生物質によるPARP阻害薬耐性がん治療の可能性の画像

抗生物質によるPARP阻害薬耐性がん治療の可能性

がん治療薬の候補として、1950年代に発見された抗生物質の試験が再び行われる。 がん患者を対象としてこの薬剤(ノボビオシン)の試験を最初に行ったのは、30年前の小規模臨床試験だった。進行乳がんの若い女性にこの薬剤が効果を示し2年間生存したが
禁煙は肺がん診断後に開始しても生存を延長の画像

禁煙は肺がん診断後に開始しても生存を延長

早期の肺がんと診断された後に禁煙すると、より長く生存できる可能性があることが、新たな研究で明らかになった。また、この研究はロシアで500人以上の患者が参加し、禁煙はがんの再発や悪化を遅延させることが明らかになった。 この知見は、早期肺がんと
身体活動によるケモブレイン軽減効果の画像

身体活動によるケモブレイン軽減効果

2019年の初め、Dawn Schnellは乳がんの化学療法を開始すると「意識混濁」のような状態を体験するようになった。 「2回の治療中に少し気を失うような感覚に襲われました」当時45歳だった彼女はそう語る。「部屋に入ると、(なぜ私はここに
新型コロナの感染やワクチンに関する免疫応答の解明:SeroNet研究の画像

新型コロナの感染やワクチンに関する免疫応答の解明:SeroNet研究

2020年4月以降、NCIはCOVID-19に関する多数の研究や臨床試験を主導し、資金を提供してきました。その取り組みの一つにはNCIの血清学ネットワーク(SeroNet)があり、COVID-19の原因ウイルス(SARS-CoV-2)および
2020年に世界で診断されたがん患者の75万人はアルコールに起因の画像

2020年に世界で診断されたがん患者の75万人はアルコールに起因

世界保健機関(WHO)の新たな研究によると、2020年に世界で診断されたがん患者のうち、4%に相当する75万人はアルコール摂取に起因すると考えられる。そのうち過度の飲酒が最も多いが、軽度の飲酒と中程度の飲酒が10万人超を占めることが研究で明
FDAが慢性移植片対宿主病にBelumosudilを承認の画像

FDAが慢性移植片対宿主病にBelumosudilを承認

慢性の移植片対宿主病(GVHD)は骨髄および幹細胞移植に多い合併症であるが、このたび新たな治療法が加わった。7月16日、米国食品医薬品局(FDA)は、すでに他の治療法を2種類以上試したことがある12歳以上の人を対象に、belumosudil
糖尿病の診断が膵臓がんの早期発見に役立つ可能性の画像

糖尿病の診断が膵臓がんの早期発見に役立つ可能性

54歳のBob Aronsonは、息子のTomいわく「非常に健康」だった。 「だから年に一度の眼科の定期検査で、医師から糖尿病の疑いがあると言われた時には、誰もが驚きました」とTomは振り返る。 糖尿病と診断されたBobは通常の日常生活に戻
小児髄芽腫で放射線治療の個別化が進む可能性の画像

小児髄芽腫で放射線治療の個別化が進む可能性

成長の速い脳腫瘍の一種である髄芽腫の小児患者や若年成人患者に対する放射線治療は、画一的な治療法からいずれ変わることができるかもしれない。大規模臨床試験によると、長期生存率を制限することなく、安全に線量を減らすことができる患児もいれば、標準的
中咽頭がんにおける治療強度の減弱の画像

中咽頭がんにおける治療強度の減弱

喉の中が激しく焼けて、唾を飲みたくないと思うことを想像してみよう。それどころか、何も問題なく飲み込めるはずの唾液を大きなコップに吐き出す。何度も何度も。何週間も。 2014年の一時期、それがJason Mendelsohn氏の日課だった。