網膜芽細胞腫サバイバーが直面する二次癌の危険性

網膜芽細胞腫サバイバーが直面する二次癌の危険性

キャンサーコンサルタンツ
2008年12月

網膜芽細胞腫サバイバーは二次癌のリスクが高いと、オランダの研究者らが発表した。この結果は2008年12月17日発行のJournal of National Cancer Institute誌に掲載された。

網膜芽細胞腫は網膜に生じる稀な癌で、大半は乳幼児が罹患する。症例の約30%~40%は、RB1として知られる遺伝子の遺伝的変異によるものであり、残りの60%~70%は遺伝性ではなく、RB1遺伝子における散発性の変異によるものだと考えられている。

患者に網膜芽細胞腫の家族歴がある場合や網膜芽細胞腫が両眼を侵している場合、遺伝性網膜芽細胞腫が疑われる。遺伝性網膜芽細胞腫サバイバーには二次癌が生じるリスクがあることが知られているが、長期の追跡調査結果を明らかにした試験はほとんどない。

数十年にわたってフォローアップされた数人も含め、網膜芽細胞腫サバイバーにおける二次癌リスクを調査するために、オランダの研究者らは1945年から2005年の間に網膜芽細胞腫と診断された668人を対象とした研究を行った。その内容は、網膜芽細胞腫サバイバーにおける二次癌リスクと一般のオランダ人における二次癌リスクを比較するものである。

・遺伝性網膜芽細胞腫サバイバーの二次癌リスクは、一般集団と比べ20倍高かった。遺伝性網膜芽細胞腫を治療するために放射線治療を受けた患者群においては、癌の続発リスクがさらに高かった。

・遺伝性網膜芽細胞腫の診断を受けてから、40年以内に二次癌を発症したサバイバーは28%にのぼるという結果が示された。一般集団と比べて網膜芽細胞腫サバイバーに多く見られる癌の種類には、骨肉腫・軟部肉腫・メラノーマ・膀胱癌・肺癌が含まれる。

・非遺伝性の網膜芽細胞腫サバイバーでは、二次癌リスクはわずかに上昇した(一般集団と比較して、そのリスクは2倍弱)。しかし、この結果は統計学的な有意水準を満たしておらず、単なる偶然であったかもしれない。

コメント:この研究は網膜芽細胞腫サバイバーが二次癌を発症するリスクに関する付加情報を提供している。遺伝性網膜芽細胞腫サバイバーは、二次癌の発症がないかを定期的に検診すべきである。

参考文献:
Marees T, Moll AC, Imhof SM, de Boer MR, Ringens PJ, van Leeuwen FE. Risk of second malignancies in survivors of retinoblastoma: more than 40 years of follow-up. Journal of the National Cancer Institute. 2008;100:1771-1779.


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翻訳担当者 岡田 章代

監修 中村 光宏(医学放射線)

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