小児癌サバイバーは診断後何年後でも早死のリスクが高い

キャンサーコンサルタンツ

小児癌サバイバーは、一般集団と比較して、病気で早死のリスクが持続的に高い可能性がある。これらの評価結果は最近、Journal of the American Medical Association誌で発表された。[1]

小児癌の生存率は高く、子供および青年期の若者の80%が5年以上生存している。以前実施された試験で、診断後の最初の20年間、小児癌サバイバーは一般集団と比較すると、二次癌またはその他の疾病で亡くなるリスクが高いことが実証されている。研究者たちは最近、小児癌の診断を受けてから25年間経っても、このような高リスクが続くのかを調査した。

今回の英国の試験で、研究者たちは診断を受けた当時の年齢が15歳以下だった小児癌サバイバー17,981人を追跡調査し、一般集団と比較して慢性疾患による早死のリスクがどれくらいあるかを明らかにした。今回の分析に組み込まれた小児癌サバイバーは、5年以上生存し、1940年から1991年の間に診断され、2006年まで追跡調査を受けた人たちである。

・全体として、小児癌サバイバーの集団のうち早期死亡した人の数は一般集団の11倍。
・早死する率は年月が経つに従って減少するが、診断後45年でも、依然、一般集団より3倍高い。
・一般集団と比較して、小児癌サバイバーは、二次癌、循環器疾患または肺疾患による早死のリスクが高く、そのリスクの高さは診断後25年以上続いた。

「25年以上も前に診断を受けたサバイバーたちは現在、二次癌または循環器疾患で亡くなるリスクが最も高いが、このような癌サバイバーたちは、ごく最近になって診断を受けた癌サバイバーよりも積極的に追跡調査を受ける可能性は低い」と研究者たちは結論を出した。本試験の結果は、最初の癌から生存して何十年たっても医療介入プログラムが利用できるようにすべきだと示唆している。

参考文献:
[1] Reulen RC, Winter DL, Frobisher C, et al. Long-term Cause-Specific Mortality Among Survivors of Childhood Cancer. JAMA. 2010;304:172-179.


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翻訳担当者 松長愛美 

監修 林 正樹(血液・腫瘍科)

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