肺癌向けに開発された分子標的治療で食道癌の生存期間が改善

キャンサーコンサルタンツ

肺癌で一般的に使用される分子標的治療で、食道癌患者の生存期間が延長したとの臨床試験結果が、このほど英国で開催された国立がん研究所(NCRI)癌会議で発表された。

食道は、食物と液体が胃に到達するまでに通過する筋肉の管である。米国で毎年、17,000人以上が食道癌と診断され、15,000人以上がこの疾病で死亡する。

研究者らは、食道癌患者でも多くて6人中1人の割合で上皮成長因子受容体(EGFR)を有することを最近認めた。医師らは、ゲフィチニブ(イレッサ)またはプラセボを投与する臨床試験に参加し、亡くなった食道癌患者295人から入手した腫瘍サンプルにEGFRの発現があるかどうかを検査した。

医師らは、イレッサで治療した患者の生存期間が6カ月、中にはそれ以上延長したと報告した。EGFRを有する患者48人のうち、イレッサ治療を受けた患者の13%は1年以上生存したのに対して、プラセボを投与した患者でそれほど長く生存したものはいなかった。

EGFRコピー数が増加していない患者にイレッサを投与しても結果に差がなかったため、医師らは、イレッサ治療が有効な食道患者のサブグループをEGFR検査で特定することができるだろうと提案している。

食道癌細胞が異常なEGFRを発現し、その異常を標的にする治療が進行食道癌患者の生存期間を延長するという発見は、大きな進展である。これは、進行食道癌において,化学療法の最初のコースが奏効しなかった患者の生存期間を延長することを示す、初めての治療である。

現在、肺癌の治療に利用できるEGFR薬が複数ある。これらの薬剤を単独で、組合せで、そして、順番に使用したところ、ここ数年で肺癌患者の生存期間が延長した。すべての食道癌患者はEGFR検査を受けるようにし、その検査結果が陽性であれば、これらの新しい結果で治療選択肢が改善する可能性について話し合うべきである。


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翻訳担当者 有田香名美

監修 畑 啓昭(消化器外科/京都医療センター)

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