レゴラフェニブが肝細胞がん患者の生存期間を延長

第3相試験が、新しい二次治療薬剤の有効性と安全性を裏付けた。

経口マルチキナーゼ阻害剤レゴラフェニブは、肝細胞がん患者に対し、プラセボと比較して有意な生存期間延長を達成した。この第3相試験(RESORCE)の結果が第18回ESMO世界消化器がん学会(スペイン、 バルセロナ)で報告された。

「肝細胞がんに対する全身療法は、ソラフェニブというたった一つの薬剤が長期にわたってその役割を担っており、約10年前に有意な平均余命の改善を示したが、他の薬剤がその利点を超えることはありませんでした」と、RESORCE試験の臨床試験責任医師であるJordi Bruix医師(Head of the BCLC group at the Hospital Clínic and Scientific Director of the Network for Biomedical Research for Hepatic and Digestive Diseases (CIBEREHD))は述べた。

過去10年の間、肝細胞がんに対し可能性のある多くの新しい薬剤が臨床試験で開発を断念するなか、レゴラフェニブ開発早期段階の第1相および第2相試験結果は有望であり、そしてその結果は国際多施設共同第3相試験の開始につながった。

本試験の研究者たちは、中等度もしくは高度進行肝細胞がん患者でソラフェニブでの治療歴がある573人を登録した。登録された患者は、レゴラフェニブ160mg群もしくはプラセボ群に2:1の割合で無作為に割り付けられ、服薬は1日1回、3週間連日内服し1週間休薬しながら必要な時には支持療法を受けた。

中央値で3.6カ月の治療を行った結果、レゴラフェニブはプラセボと比較して、死亡リスクの38%減少、増悪もしくは死亡リスクの54%減少を示した。

無増悪生存期間中央値はレゴラフェニブ群3.1カ月、プラセボ群1.5カ月であり、生存期間中央値はレゴラフェニブ群10.6カ月、プラセボ群7.8カ月であった。

レゴラフェニブ治療を受けた患者の65.2%には、抗腫瘍効果として完全奏効、部分奏効、安定がみられ、比較したプラセボ群では36.1%であった。

レゴラフェニブは、ソラフェニブと同様の安全性と有害事象プロファイルを有し、高血圧、手足症候群、倦怠感や下痢などは本剤服用患者において有意に発現していた。

Bruix医師は、「この薬剤は肝臓がんの原因や病期にかかわらず有用性が明らかですが、バイオマーカー解析によって、この薬剤治療でより大きな利益を得る可能性が高い患者サブグループの存在を明らかにできるでしょう。肝細胞がんを治療することは非常に困難ですが、今回、われわれは効果的な二次治療薬剤を得ることができました。それは患者にとって朗報であるとともに、この分野におけるさらなる開発への関心を刺激するでしょう」と語った 。 

翻訳担当者 田邉浩太郎

監修 高濱隆幸(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)

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