FDAが遠隔転移を有する難治性大腸がんにフルキンチニブを承認

米国食品医薬品局(FDA)

2023年11月8日、米国食品医薬品局(FDA)は、フルオロピリミジン、オキサリプラチン、イリノテカンをベースとする化学療法、抗VEGF療法、およびRAS野生型で医学的に適切な場合には抗EGFR療法を受けた切除不能な大腸がん(mCRC)成人患者を対象に、fruquintinib[フルキンチニブ](Fruzaqla、武田薬品工業)を承認した。

有効性はFRESCO-2試験(NCT04322539)およびFRESCO試験(NCT02314819)で評価された。 FRESCO-2試験(NCT04322539)は、国際、多施設共同、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験で、フルオロピリミジン、オキサリプラチンおよびイリノテカンを用いた化学療法、生物学的抗VEGF療法、RAS野生型の場合は生物学的抗EGFR療法、もしくはトリフルリジン/チピラシルおよび/またはレゴラフェニブの治療中または治療後に病勢進行したmCRC患者691人が評価された。FRESCO試験は、中国で実施された多施設プラセボ対照試験で、フルオロピリミジン、オキサリプラチンおよびイリノテカンを用いた化学療法中または治療後に病勢進行した切除不能な大腸がん患者416人が評価された。

両試験において、患者はフルキンチニブ5 mgまたはプラセボを28日サイクルの最初の21日間、1日1回経口投与する群に無作為(2:1)に割り付けられ、ベストサポーティブケア*(BSC)が併用された。患者は病勢進行または許容できない毒性が認められるまで治療を受けた。

両試験とも全生存期間(OS)が主要評価項目であった。FRESCO-2試験では、OS中央値はフルキンチニブ投与群で7.4カ月(95%信頼区間:6.7、8.2)、プラセボ投与群で4.8カ月(95%信頼区間:4.0、5.8)であった(HR 0.66 [95%信頼区間:0.55、0.80] 、p値 < 0.001)。FRESCO試験では、OS中央値はそれぞれの治療群で9.3カ月(95%CI:8.2、10.5)、6.6カ月(95%CI:5.9、8.1)であった(HR 0.65 [95%CI:0.51, 0.83] 、p値 < 0.001)。

特に多くみられた有害事象(20%以上)は、高血圧、手掌足底紅痛症、蛋白尿、発声障害、腹痛、下痢、無力症であった。

フルキンチニブの推奨用量は、28日間サイクルの最初の21日間、1日1回5 mgを食事の有無にかかわらず経口投与し、病勢進行または許容できない毒性が発現するまで継続する。

フルキンチニブの全処方はこちら

*訳注:積極的ながん治療ではなく、緩和療法のみを行う

  • 監訳  東 光久(総合診療、腫瘍内科、緩和ケア/奈良県総合医療センター)
  • 翻訳担当者 後藤 若菜
  • 原文を見る
  • 原文掲載日 2023/11/08

 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

 

大腸がんに関連する記事

【AACR2025】BRAF阻害薬配合の塗り薬が、大腸がんのEGFR阻害薬治療によるざ瘡様皮疹に効果の画像

【AACR2025】BRAF阻害薬配合の塗り薬が、大腸がんのEGFR阻害薬治療によるざ瘡様皮疹に効果

大腸がん患者に生じたざ瘡様皮疹(ざそうようひしん)に対し、試験中の外用BRAF阻害薬LUT014ジェルを使用したところ、プラセボジェルを使用した場合と比較して皮疹の改善がより多くみられ...
【AACR2025】リキッドバイオプシー検査で、切除可能大腸がんの再発を画像診断前に検出の画像

【AACR2025】リキッドバイオプシー検査で、切除可能大腸がんの再発を画像診断前に検出

循環腫瘍DNA(ctDNA)ベースの超高感度リキッドバイオプシー検査により、大腸がん患者において、画像診断前に再発の徴候が検出され、手術後1カ月以内に予後値が示された。このVICTOR...
若年層のがん罹患率増加の理由を追究の画像

若年層のがん罹患率増加の理由を追究

もしかしたら、ディズニーワールドにいた時にそれはすでにあったのかもしれない。冬の終わりの朝、ビジネススーツ姿のテディベアを前面にあしらったスウェット・パーカーとジーンズという服装でオフ...
FDA承認により、一部の進行大腸がんの初回治療が変わる可能性の画像

FDA承認により、一部の進行大腸がんの初回治療が変わる可能性

米国食品医薬品局(FDA)は、一部の進行大腸がん患者に対する初回治療として、2種類の免疫療法薬の併用を承認した。この承認は、腫瘍がMSI-HまたはdMMRに分類される患者に対するニボル...