米FDAがER陽性/HER2陰性/ESR1遺伝子変異の進行・転移乳がんにイムルネストラント+アベマシクリブを承認

米FDAがER陽性/HER2陰性/ESR1遺伝子変異の進行・転移乳がんにイムルネストラント+アベマシクリブを承認

2026年9月18日、米国食品医薬品局(FDA)は、1種類以上のホルモン療法後に病勢進行が認められた進行/転移を有する乳がんの成人患者のうち、エストロゲン受容体(ER)陽性、ヒト上皮成長因子受容体2(HER2)陰性、FDA承認済み検査でエストロゲン受容体1(ESR1)遺伝子変異が認められた患者を対象に、イムルネストラント(販売名:イムルリオ)とアベマシクリブ(販売名:ベージニオ)の併用療法を承認した。イムルリオとベージニオは、 Eli Lilly and Company社が製造している。
 
FDAはまた、ESR1遺伝子変異を有する乳がん患者を特定し、イムルネストラントおよびアベマシクリブによる治療を行うためのコンパニオン診断機器としてGuardant360 CDxアッセイを承認した。
 
インルリオおよびベージニオの詳細な処方情報は、Drugs@FDAに掲載される。

有効性と安全性

有効性は、ランダム化非盲検実薬対照多施設共同試験であるEMBER-3(NCT04975308)試験で評価された。EMBER-3では、アロマターゼ阻害薬単独またはCDK4/6阻害薬との併用による治療歴があり、ER陽性、HER2陰性、局所進行/転移を有する乳がんの成人患者874人が対象であった。PARP阻害薬の投与対象となる患者は除外された。
 
患者は、イムルネストラント群、治験担当医師選択のホルモン療法(フルベストラントまたはエキセメスタン)群、またはイムルネストラント+アベマシクリブ群に1:1:1の比率で無作為に割り付けられた。ランダム化は、CDK4/6阻害薬による治療歴、内臓転移の有無、および地理的地域によって層別化された。ESR1遺伝子変異の状態は、Guardant360 CDxアッセイを用いた血中循環腫瘍細胞DNA(ctDNA)分析によって評価され、リガンド結合ドメインにおける特定のESR1遺伝子変異に限定された。
 
イムルネストラントとアベマシクリブの併用療法の主要な有効性評価項目は、全患者集団を対象としたRECIST v1.1に基づく治験担当医師評価の無増悪生存期間(PFS)であり、イムルネストラントとアベマシクリブの併用療法とイムルネストラント単剤療法とを比較した。その他の有効性評価項目には、全生存期間(OS)および治験担当医師評価の客観的奏効率(ORR)が含まれた。全患者集団におけるイムルネストラントとアベマシクリブの併用療法とイムルネストラント単剤療法のPFSの比較は統計学的に有意であったが、全患者集団やESR1遺伝子変異未検出の患者集団のいずれにおいても、イムルネストラント単剤療法と治験担当医師選択のホルモン療法との比較ではPFSの改善は示されなかったことから、ベネフィットが観察されたのはESR1変異患者集団でのみであることが示された。ESR1遺伝子変異腫瘍を有する患者159人を対象とした併用療法の探索的サブグループ解析では、PFS HR推定値は0.53(95%信頼区間:0.35、0.80)であった。ESR1遺伝子変異腫瘍を有する患者におけるPFS中央値は、イムルネストラント+アベマシクリブ群で11.1カ月(95%信頼区間:7.4、13.7)、イムルネストラント単剤群で5.5カ月(95%信頼区間:3.8、7.2)であった。奏効率(ORR)は、それぞれの群で35%(95%信頼区間:22、48)と15%(95%信頼区間:7、23)であった。中間解析時点では、ESR1遺伝子変異腫瘍を有する患者の35%が死亡しており、OSデータは未成熟であった。
 
イムルネストラントの添付文書には、胚・胎児毒性に関する警告および注意事項が記載されている。アベマシクリブの添付文書には、下痢、好中球減少症、間質性肺疾患または肺臓炎、肝毒性、静脈血栓塞栓症、および胚・胎児毒性に関する警告および注意事項が記載されている。

推奨用量

イムルネストラントの推奨用量は、経口投与で1日1回400 mg(食前2時間以上または食後1時間以上での空腹時に服用)であり、併用するアベマシクリブの推奨用量は、経口投与で1日2回150 mg(食事の有無は問わない)であり、病勢進行または許容できない毒性が発現するまで継続する。

  • 記事担当 仲里芳子
  • 監修 小坂泰二郎(乳腺外科/JA長野厚生連 佐久総合病院 佐久医療センター)
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  • 原文掲載日 2026/09/18

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