避妊薬により悪性脳腫瘍リスクが上昇する可能性

キャンサーコンサルタンツ

デンマークにおける研究

経口避妊薬を5年以上服用すると、稀ではあるが致死率の高い悪性脳腫瘍である多形性膠芽腫(GBM)の発症リスクが倍増する恐れがあることを示唆する臨床試験結果がこのほど発表された。

多形性膠芽腫は、原発性悪性脳腫瘍の中では最も好発する致死性の脳腫瘍の一つであり、神経系に最も多く存在するグリア細胞から発生する。グリア細胞はニューロン(脳、脊柱、神経の間でインパルスを伝達する細胞)の働きを促進する支援的機能をもつ。GBMに対する治療としては、手術とその後の放射線照射・薬物療法などが一般的であるが、可能な限り積極的な治療を行っても、多くの場合、診断後の生存期間は1年未満である。そのため、研究者たちは革新的な新しい治療法の評価に取り組んでいる。

今回の臨床試験では、2000~2009年の間にGBMと診断された317人の女性を対象として対照群と比較評価した。その結果、プロゲステロンのみによる避妊法を用いた女性における悪性脳腫瘍のリスクは対照群よりも2.4倍高いことが示された。また、これほど高くはないものの、他のホルモン避妊法においてもリスクが上昇した。

今回の試験から「避妊薬の使用と悪性脳腫瘍との間に関連性があるのでは」との懸念が湧き起こるのは明らかである。しかし、他の臨床試験では一致した関連性が示されていないため、確かな結論に至るには時期尚早であり、この件に関する研究がさらに継続されるであろう。

どのような場合にも言えるが、個人別に避妊薬使用のリスクと便益を比較検討することが重要である。避妊薬の使用が悪性脳腫瘍の原因となったことが、今回の臨床試験結果から証明されたわけではない。しかし、両者の関連性が示唆されたのは確かであり、経口避妊薬や少なくともプロゲステロンを高用量含有する製剤を使用しないことで、多くの人々が避妊薬による悪性脳腫瘍のリスクを避けられるものと思われる。

参考文献:

Andersen L, Friis S, Hallas, et al. Hormonal Contraceptive Use and Risk of Glioma among Younger Women: A Nationwide Case-control Study. British Journal of Clinical Pharmacology. 2014; DOI: 10.1111/bcp.


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翻訳担当者 八木佐和子

監修 東海林洋子(薬学博士/ 遺伝子医薬品、薬剤学、微生物学)

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