FDAが脳腫瘍に新しい医療機器を承認

FOR IMMEDIATE RELEASE:2011年4月15日
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FDAが脳腫瘍に新しい医療機器を承認

米国食品医薬品局(FDA)は先頃、化学療法および放射線療法を受けた後に再発または進行した多形性膠芽腫(GBM)を有する成人患者の治療に、新しい機器のNovoTTF-100Aシステムを承認した。

脳腫瘍は、脳組織に異常な細胞が増殖するものである。米国国立癌研究所によれば、米国で毎年約19,000人が原発性脳腫瘍と診断されている。また、2010年には米国で13,140人が脳腫瘍や他の神経系腫瘍によって死亡している。

GBMは最も多くみられる原発性脳腫瘍である。脳腫瘍は、外科手術、放射線療法、化学療法などの標準治療に強い抵抗性を示す。

NovoTTF-100Aシステムを使用する際、医療従事者は電極を患者の頭皮表面に装着し、「腫瘍治療電場」(TTF)と呼ばれる低強度の変化する電場を腫瘍部位に生じさせる。分裂中の腫瘍細胞には独特の形状と電気的特性があるため、TTFに曝された際に損傷しやすくなっており、それによって腫瘍の増殖を食い止められる可能性がある。

本機器は携帯型で、バッテリーの使用あるいは電源コンセントへの差し込みにより作動する。患者は本機器を在宅で使用できるため、通常の日常活動を続けることができる。

「再発性の多形性膠芽腫は、標準治療が奏効しないことの多い深刻な種類の脳腫瘍である」とFDAの医療機器・放射線保健センター長である、Jeffrey Shuren医師/法務博士は言う。「FDAがNovoTTF-100Aシステムを承認したことは、患者に他の治療選択肢をもたらす革新的な新機器への当局の高い関心を示している。」

FDAは、再発性GBMまたは従来の療法に反応しなかったGBMを有する患者237人を対象にした単一の国際臨床試験の結果を基に、NovoTTF-100Aシステムの承認を行った。この試験では、NovoTTF-100Aシステムによる治療を受ける群または化学療法による治療を受ける群のいずれかに患者を無作為割付けした。

試験では、NovoTTF-100Aシステムによる治療を受けた患者と化学療法を受けた患者の全生存率は同程度であることが明らかになった。

NovoTTF-100Aシステムによる治療を受けた患者は化学療法を受けた患者より、けいれんや頭痛などの神経学的副作用の発症率が若干高かったが、悪心、貧血、疲労、重篤な感染症などの化学療法に伴う大きな副作用は経験しなかった。

本試験の患者に関する調査では、NovoTTF-100Aによる治療を受けた再発性GBM患者の生活の質は、化学療法を受けた患者より向上していることが示唆された。

医療機器を埋め込んでいる場合や頭蓋骨欠損がある場合、または心電図検査に用いられるような導電性ハイドロゲルに対する過敏症の既往がある場合には、患者はNovoTTF-100Aを使用してはならない。同システムは他の癌治療との併用を意図するものではなく、他の治療の失敗後にのみ使用するべきである。

NovoTTF-100AシステムはNovocure社(ニューハンプシャー州ポーツマス)が製造している。

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川瀬 真紀 訳
寺島 慶太(小児血液腫瘍・神経腫瘍学/テキサス小児がんセンター)監修 
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原文

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