米国の人口データでは、携帯電話普及期における脳腫瘍罹患率の増加は見られず

NCIニュースノート 

米国の癌罹患率に関するデータの新研究において、NCIの研究者らは、脳腫瘍の主な種類であり、携帯電話使用との関連が疑われている神経膠腫の罹患率は概ね変化していないと報告した。研究者らの発見によれば、携帯電話の使用が(ほぼゼロから人口の約100パーセントにまで)大幅に増加した1992年から2008年の間、米国の神経膠腫の罹患率は携帯電話使用の増加を反映するものではなかった。この研究結果は2012年3月8日にBritish Medical Journal誌のオンライン版に掲載された。

研究者らは米国のデータを、米国より早く携帯電話の使用が普及していたヨーロッパで実施された2つの研究のデータと比較した。2つの研究とは、国際癌研究機関(IARC)のインターフォン研究と、2011年に発表されたスウェーデンの研究であるが、これらはIARCがその後2011年に携帯電話が発する電磁波を人体にとって発癌性を有する可能性があると再分類した際の主要な証拠となった研究である。(詳細については、 IARC報告についてのNCIの声明を参照のこと。)この新たな分析で、NCIの研究者らは、1992年から2008年までの同研究所のSEERプログラムの12の癌登録で観察された神経膠腫の罹患率と、インターフォン研究およびスウェーデンの研究で観察されたリスクに基づく推定罹患率とを比較した。全研究期間にわたり、神経膠腫の罹患率パターンは全年齢層においてほぼ一定であった。インターフォン研究ではごく一部のヘビーユーザーの間で若干のリスク増加が発見されたが、同研究に基づいた推定罹患率は観察された罹患率と統計学的な差異はなかった。その一方で、スウェーデンの研究に基づく推定罹患率は実際の罹患率と一致せず最低でも40パーセント高かった。著者は、携帯電話の使用パターンや科学技術の変化、腫瘍の潜伏期間が現在までの観察期間より長い可能性など、多くの理由により、神経膠腫罹患率の継続的な調査を推奨している。

翻訳担当者 寺澤多恵

監修 橋本 仁(獣医学)

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