FDAが悪性血管周囲類上皮細胞腫瘍(PEComa)にアルブミン懸濁型シロリムス粒子製剤を承認

2021年11月22日、米国食品医薬品局(FDA)は、局所進行切除不能または転移性の悪性血管周囲類上皮細胞腫瘍(PEComa)の患者を対象に、シロリムス・タンパク結合粒子注射液(アルブミン懸濁型)(販売名:Fyarro、Aadi Bioscience, Inc.社)を承認した。

有効性は、局所進行切除不能または転移性の悪性PEComa患者31人を対象とした、多施設共同単群臨床試験AMPECT(NCT02494570)試験で評価された。患者には、21日間の各サイクルの1日目と8日目に、シロリムス・タンパク結合粒子100mg/m2を病勢進行、または忍容できない毒性が認められるまで投与した。

主要有効性評価項目は、RECIST規準第1.1版を用いた盲検下独立中央評価による奏効率(ORR)と奏効期間(DOR)であった。ORRは39%(95%CI:22%、58%)で、2人に完全奏効が認められた。DOR中央値は未達であった(95%CI:6.5カ月、推定不能)。奏効が得られた患者のうち67%が12カ月超、58%が24カ月超の奏効が認められた。 

最もよく見られた副作用(30%以上)は、口内炎、疲労、発疹、感染症、悪心、浮腫、下痢、筋骨格痛、体重減少、食欲減退、咳、嘔吐、味覚障害であった。最もよく見られたグレード3または4の臨床検査値異常(6%以上)は、リンパ球減少、グルコース増加、カリウム減少、リン酸塩減少、ヘモグロビン減少、リパーゼ増加であった。

推奨用量は、21日間の各サイクルの1日目と8日目に、病勢進行、または忍容できない毒性が認められるまで100mg/m2を30分かけて点滴静注する。

Fyarroの全処方情報はこちらを参照。

翻訳担当者 中島節

監修 遠藤誠(肉腫、骨軟部腫瘍/九州大学病院 整形外科)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

肉腫に関連する記事

胞巣状軟部肉腫にアテゾリズマブが有効の画像

胞巣状軟部肉腫にアテゾリズマブが有効

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ胞巣状軟部肉腫と診断されたとき、ファイザンヌ・ヒル氏はわずか11歳であった。この軟部肉腫は極めてまれで、米国における年間診断数はわずか約80...
ニロガセスタットはデスモイド腫瘍に有望な可能性の画像

ニロガセスタットはデスモイド腫瘍に有望な可能性

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ非常にまれで消耗性の軟部腫瘍であるデスモイド腫瘍は、新たな臨床試験の結果に基づき、まもなく承認された治療選択肢を得るだろう。この疾患は、現時...
ESMO会議:肉腫・希少がん会議と欧州肺がん会議の画像

ESMO会議:肉腫・希少がん会議と欧州肺がん会議

欧州臨床腫瘍学会(ESMO)世界有数の臨床腫瘍学会である欧州臨床腫瘍学会(European Society for Medical Oncology:ESMO)は、腫瘍学における特定の...
ETV6タンパク質がユーイング肉腫治療の重要なターゲットとなる可能性の画像

ETV6タンパク質がユーイング肉腫治療の重要なターゲットとなる可能性

米国国立がん研究所(NCI)
ユーイング肉腫は、小児がんの中でも特に治療が難しいがんであり、治療後に転移・再発した患者に対する有効な治療法の開発はほとんど進んでいない。この進展のなさは、...