FDAが進行多発性骨髄腫の治療にPomalyst(pomalidomide)を承認/FDAニュース
FOR IMMEDIATE RELEASE:2013年2月8日
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FDAが進行多発性骨髄腫の治療にPomalyst(pomalidomide)を承認
米国食品医薬品局(FDA)は本日、他の抗癌剤による治療後に進行した多発性骨髄腫患者の治療薬として、Pomalyst(pomalidomide[ポマリドミド])を承認した。
多発性骨髄腫は主に高齢者に影響を与える血液癌の一種で、骨髄内の形質細胞から生じる。米国国立癌研究所によると、毎年約21,700人が多発性骨髄腫と診断され、約10,710人が同疾患で死亡する。
Pomalystは、人体の免疫系を調節して、癌細胞を殺傷し、その増殖を抑制する錠剤である。Pomalystの対象患者は、レナリドミドやボルテゾミブなどの前治療を2種類以上受け、かつ、治療に反応せずに、最後の治療から60日以内に進行した(再発難治性)多発性骨髄腫患者である。
「Pomalystは3番目の免疫調節薬です。この種類の薬剤には他にレナリドミドとサリドマイドがあります。また、この1年以内に、多発性骨髄腫の治療薬として承認された2番目の薬剤です 。多発性骨髄腫の治療は個々の患者のニーズに合わせています。また、今回のPomalystの承認により、他の薬剤に反応しなかった患者にとって、さらなる治療選択肢がもたらされます」と、FDA医薬品評価研究センター血液腫瘍製品室所長のRichard Pazdur医師は述べた。
2012年7月、FDAは、多発性骨髄腫の治療薬としてカイプロリス (カーフィルゾミブ)を承認した。カイプロリスと同様に、PomalystはFDAの迅速承認プログラムにより承認されており、それにより患者が有望な新薬をより早く利用できる。その一方で、製薬企業は、新薬の臨床的利益と安全使用を確認するため追加臨床試験を実施する。Pomalystは、希少疾病および疾患の治療薬であることから、希少疾病用医薬品にも指定された。
Pomalystの安全性および有効性は、再発性または難治性多発性骨髄腫患者221人を対象とする臨床試験で評価された。本臨床試験は、治療後に多発性骨髄腫が完全にまたは部分的に消失した患者の数(客観的奏効率[ORR])を評価するように計画された。患者は、Pomalyst単剤投与群とPomalyst+低用量デキサメタゾン(副腎皮質ステロイド系抗炎症薬)投与群にランダムに割り付けられた。
その結果、Pomalyst単剤投与患者のORRは7.4%で、奏効期間中央値は現在のところ未到達である。Pomalyst+低用量デキサメタゾン投与患者のORRは29.2%で、奏効期間中央値は7.4カ月であった。
Pomalystの添付文書には、重度の生命に関わる先天異常を引き起こす可能性があるため妊婦に対して使用しないこと、ならびに、血栓症を引き起こす可能性があることを、患者と医療従事者に警告する黒枠警告欄が設けられている。
Pomalystは、その胚胎児に対するリスクにより、Pomalystリスク評価・軽減戦略(REMS)プログラムを介してしか入手できない。処方者は、Pomalyst のREMSプログラムに登録し、その要件を遵守することで、そのプログラムによる認証を受ける必要がある。患者は、「患者と医師の同意書」に署名し、REMSの要件を遵守する必要がある。特に、妊娠はしていないが妊娠可能な女性患者は、妊娠検査や避妊に関する要件を遵守する必要がある。また、男性患者も避妊に関する要件を遵守する必要がある。薬局は、Pomalystの REMSプログラムによる認証を受け、服用が許可されている患者に対してのみ調剤し、REMSの要件を遵守する必要がある。レナリドミドとサリドマイドの両剤にも、同様のREMSが存在する。
主な副作用は、感染を防御する白血球の減少(好中球減少症)、疲労と脱力、赤血球数減少(貧血)、便秘、下痢、血小板数減少(血小板減少症)、上気道感染、背部痛、ならびに発熱である。
Pomalyst、レナリドミド、およびサリドマイドは、ニュージャージー州サミットを拠点とするセルジーン社が販売している。カイプロリスは、カリフォルニア州サウス・サンフランシスコを拠点とするOnyx Pharmaceuticals社が販売している。
詳しい情報については以下を参照のこと:
FDA: Office of Hematology and Oncology Products (血液腫瘍製品室)〔原文〕
FDA: Approved Drugs: Questions and Answers (承認薬:質問と回答)〔原文〕
NCI: Multiple Myeloma (多発性骨髄腫)〔原文〕
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渡邊 岳 訳
吉原 哲(血液内科/造血幹細胞移植)監修
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