FDAが白血病(CLL)と小リンパ球性リンパ腫にアカラブルチニブを承認

2019年11月21日、米国食品医薬品局(FDA)は慢性リンパ性白血病(CLL)または小リンパ球性リンパ腫(SLL)成人患者に対してアカラブルチニブ(販売名:CALQUENCE、AstraZeneca社)の使用を承認した。

今回の審査はFDA Oncology Center of Excellenceが主導するプロジェクトOrbisによって行われた。プロジェクトOrbisにより、国際的なパートナー間での抗がん剤の同時申請および審査のための枠組みが提供される。FDA、オーストラリア医薬品行政局、およびカナダ保健省が共同で本審査を行なった。

承認は、慢性リンパ性白血病患者を対象とした2つの無作為化実薬対照試験、ELEVATE-TN(NCT02475681)試験とASCEND(NCT02970318)試験に基づいている。いずれの試験においても有効性は無増悪生存期間(PFS)に基づいており、独立して審査された。

ELEVATE-TN試験では前治療歴のない慢性リンパ性白血病患者535人をアカラブルチニブ単剤療法、アカラブルチニブ+オビヌツズマブ、またはオビヌツズマブ+クロラムブシルのいずれかに無作為に割り付けた。追跡期間中央値28.3カ月時点において、無増悪生存期間はアカラブルチニブを含む二つの治療群で有意に改善した。オビヌツズマブ+クロラムブシル群と比較した無増悪生存期間のハザード比(HR)はアカラブルチニブ+オビヌツズマブ群では0.10(95%信頼区間[CI]:0.06~0.17; p <0.0001)、アカラブルチニブ単剤療法群では0.20(95%CI:0.13~0.30; p <0.0001)であった。

ASCEND試験では、全身療法を1回以上行った再発または難治性慢性リンパ性白血病患者310人をアカラブルチニブ群または主治医選択の治療群(イデラリシブ+リツキシマブまたはベンダムスチン+リツキシマブ)のいずれかに無作為に割り付けた。追跡期間中央値16.1カ月時点において、無増悪生存期間は主治医選択治療群と比較して、アカラブルチニブ群で有意に延長していた(HR 0.31; 95%CI、0.20~0.49; p <0.0001)。

両試験において、アカラブルチニブ群では無増悪生存期間中央値に到達していなかった。さらに、いずれの試験においても、どの治療群でも全生存期間中央値に到達しておらず、死亡した患者は15%未満であった。

あらゆるグレードの 慢性リンパ性白血病患者において最もよくみられた副作用(≥30%)は、貧血、好中球減少症、血小板減少症、頭痛、上気道感染と下痢であった。

推奨用量は12時間ごとに経口で100 mgである。食物の有無にかかわらず水で全量を服用する。

CALQUENCEの全処方情報はこちらを参照。

本審査ではReal-Time Oncology Review(RTOR)およびAssessment Aidパイロットプログラムを使用した。これにより、臨床適応全体の出願に先立つデータの提出が合理化され、規制当局間の議論が促進された。これらの申請はFDAの目標期日より4カ月早く承認された。FDAはこれらの申請を優先審査と画期的治療薬に指定した。FDAの迅速承認プログラムに関する情報は企業向けガイダンス:重篤疾患のための迅速承認プログラム-医薬品およびバイオ医薬品(Guidance for Industry: Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)に記載されている。

翻訳担当者 小縣正幸

監修 北尾章人(腫瘍・血液内科/神戸大学大学院医学研究科)

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