白血病(AML)の第2相試験で多剤免疫療法+化学療法が奏効

MDアンダーソンがんセンターで行われた臨床試験で、3剤併用療法は急性骨髄性白血病において完全奏効率43%を示している。

MDアンダーソンニュースリリース:2018年11月13日

免疫チェックポイント阻害剤(ICPI)2剤と、標準的な化学療法であるアザシチジンと呼ばれるDNAメチル化阻害剤を組み合わせた3剤併用療法により、再発性または難治性急性骨髄性白血病(AML)の治療に有望な結果が示された。この知見は、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターで行われた第2相臨床試験結果に基づいている。

白血病部門准教授であるNaval Daver医師が主導した臨床試験の結果が、サンディエゴで開催された第60回米国血液学会年次総会&展示会 で発表された。

この臨床試験では、再発性または難治性急性骨髄性白血病患者を対象にした2つのコホートが比較された。コホート1では、患者70人に化学療法剤アザシチジン(AZA)+ニボルマブが投与された。コホート2では、患者20人にAZA+ニボルマブにイピリムマブを加えた3剤併用療法が投与された。コホート1の患者登録は現在終了しているが、コホート2は引き続き患者を登録している。

3剤併用療法は、完全奏効率43%、推定1年全生存率58%と有望な結果が認められた。AZA+ニボルマブコホートでは、完全奏効率22%、推定1年全生存率40%であった。両コホートで、最良効果は治療開始から3カ月以内に得られた。

「再発性急性骨髄性白血病患者の奏効率と生存率は、少数患者のコホートではアザシチジンと、ニボルマブおよびイピリムマブの2剤による3剤併用療法が有望で、アザシチジンとニボルマブ併用より優れている可能性があります。しかし、確固たる結論を出すには、もっと多くの患者さんで長期に追跡する必要があります。この2種類のチェックポイント阻害剤を使用する治療法では、免疫関連の毒性は、より高頻度で重度なものです。この3剤併用療法が成功するには、その認識と綿密なモニタリング、治療の中断および免疫毒性への積極的な治療がきわめて重要になります」とDaver医師は述べた。

副作用はAZA+ニボルマブ併用コホートで11%報告され、頻度が最も高かったのは肺炎および大腸炎であった。3剤併用療法コホートでは、グレード3または4の免疫系副作用が35%報告され、肺炎、皮膚発疹、下垂体ホルモン異常、肝酵素異常および大腸炎などが発現した。

Daver医師は次のように述べた。「現在の3剤併用療法コホートに患者さんを最大30人まで登録します。その後、より高用量のイピリムマブとより低用量のニボルマブに置き換えた3剤併用療法のコホートを患者さん30人で新設し、評価する予定です」。

「3剤併用療法の2つのコホートを解析して適切な投与方法を選択したら、より大規模な多施設共同試験でその投与方法を評価しようと考えています」。

MDアンダーソンがんセンターの免疫療法プラットフォーム(MD Anderson’s Immunotherapy Platform)に保存してある本臨床試験の患者全員の治療前と治療中の骨髄検体と血液検体を用いて詳細な相関分析を行い、奏効および薬剤抵抗性の指標となるバイオマーカーを特定する予定である。この分析は、泌尿生殖器腫瘍学(Genitourinary Medical Oncology)部門教授であるPadmanee Sharma医学博士の監督下で実施することになっている。

MDアンダーソンがんセンターで行われた本臨床試験に関与した者は、次のとおりである。Guillermo Garcia-Manero, M.D.; Jorge Cortes, M.D.; Farhad Ravandi, M.D.; Tapan Kadia, M.D.; Elias Jabbour, M.D.; Marina Konopleva, M.D., Ph.D.; Courtney DiNardo, M.D.; Rita Assi, M.D.; Sherry Pierce; Zeev Estrov, M.D.; Yesid Alvarado, M.D.; Koichi Takahashi, M.D.; Tauna Gordon; Naveen Pemmaraju, M.D.; Michael Andreeff, M.D., Ph.D.; Steven Kornblau, M.D.; Wilmer Flores; Mansour Alfayez, M.D.; Jairo Matthews; and Hagop Kantarjian, M.D., all of the Department of Leukemia; Jing Ning, Ph.D., and Graciela Nogueras Gonzalez of Biostatistics; Sreyashi Basu; Jorge Blando, D.V.M.; and James Allison, Ph.D., of Immunology; and Padmanee Sharma, M.D., Ph.D., of Genitourinary Medical Oncology。

この臨床試験は、Bristol-Myers Squibb社との戦略的共同研究により同社から資金提供を受けた。さらに、米国国立衛生研究所(CA016672およびCA100632)、ディック・クラーク免疫療法基金ならびにMDアンダーソンがんセンターの骨髄異形成症候群および急性骨髄性白血病・ムーンショットプログラム™からも助成を受けた。この骨髄異形成症候群および急性骨髄性白血病・ムーンショットプログラム™は、MDアンダーソンがんセンターが患者の救命を目的として科学的発見を臨床現場での改善につなげるスピードを速めようと共同で取り組んでいるムーンショットプログラム™の一部である。

翻訳担当者 金井健一

監修 喜安純一(血液内科・血液病理/飯塚病院 血液内科)

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