芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍の第2相試験でtagraxofuspが奏効

テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者らが率いる、芽球性形質細胞様樹状細胞腫瘍(BPDCN)患者を対象とした第1相および第2相試験で、tagraxofuspという臨床試験薬が高い奏効率を示した。BPDCNは、まれではあるが悪性度が高く致死率が高い骨髄や血液の疾患であり、承認された治療法がない。

研究の知見は、白血病科准教授のNaveen Pemmaraju医師がサンディエゴで開催された第60回米国血液学会(ASH)年次総会で12月3日に発表している。

「これはBPDCN患者に特化して前向きにデザインされた多施設、多重サイクル臨床試験で最大のものです」とPemmaraju医師は述べた。「初回治療を受けた患者の全奏効率が90%を示すなど、高い奏効率を確認しました。これらの知見により、私たちは、特定の治療法がなかったこの疾患の患者に対する希望を得ました」。

BPDCN患者は診断後のさまざまな細胞傷害性化学療法に対し治療成績が悪く、奏効率が低い。承認された治療法や標準的治療はないが、患者は、かなりの頻度で他の血液がんを対象に承認された化学療法や幹細胞移植を受けている。しかし、患者の大半は高齢者か、標準的な化学療法に適さない。

年齢中央値70歳の45人の患者が、初回治療あるいは再発性または難治性の治療としてtagraxofuspが提供される、the seven-site studyに登録した。この研究のフォローアップ期間中央値は13.8カ月であった。

患者らは臨床試験の次のステージに継続して登録され、薬の使用も継続できる。Tagraxofuspは、新しい標的治療薬であり、BPDCNおよび他の血液悪性腫瘍で発現する、細胞表面受容体のCD123を標的とする。

この薬については、慢性骨髄単球性白血病患者や骨髄線維症患者を対象にした他の臨床試験も行われている。Tagraxofuspは、ローリング(段階的)バイオ医薬品認可申請により、FDAからブレークスルーセラピー(画期的治療薬)の承認を得た。

翻訳担当者 白鳥理枝

監修 吉原 哲(血液内科・細胞治療/兵庫医科大学)

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