CD19標的のCAR T細胞療法における耐性獲得の機序

CD19標的のCAR T細胞療法における耐性獲得の機序

CD19を標的とするCAR T細胞療法において、CD19の遺伝子の変異獲得や、白血病細胞へのキメラ抗原受容体(CAR)の導入によって、隣接するCD19抗原がCARで覆われることにより耐性が獲得されうるということが、Nature Medicine誌2018年10月1日号掲載の2本の短報にて示された。

ノバルティス生物医学研究所(米国マサチューセッツ州ケンブリッジ)のElena J. Orlando氏らは、急性リンパ性白血病に対するCAR T療法において、CD19抗原陰性の再発時に、CD19の遺伝子の変異およびヘテロ接合性喪失を見出したことを報告した。変異は耐性腫瘍細胞の大半にあり、変異により膜貫通ドメインが機能しないか欠損した短縮型タンパク質となり、その結果として表面抗原が喪失すると推定される。この不可逆的なCD19欠損は、他の標的または併用のCARアプローチを支持するものである。

2番目の報告では、ペンシルバニア大学ペレルマン医学大学院およびアブラムソンがんセンター(米国ペンシルバニア州フィラデルフィア)在籍のCarl H. June氏およびJ. Joseph Melenhorst氏らは、CD19を標的とするCAR T細胞(CTL019)投与から9カ月後に再発した、抗CD19 CAR異常発現しているCD19抗原陰性白血病患者について記述している。T細胞の加工中に、CAR遺伝子が単一の白血病B細胞へたまたま導入され、その生成物が同一白血病細胞表面の隣接したCD19エピトープと結合し、CD19エピトープが認識からマスクされることによりCTL019への耐性を獲得する。

がん免疫療法の分野で大きな進歩があった。大多数の患者への臨床的有用性を実現するには、有効な抗腫瘍作用につながる機序や、治療に対する耐性の原因となるさまざまな因子を完全に把握する必要がある。これらの機序の解明は、免疫療法に対する耐性を潜在的に克服するための方策を明らかにするうえで重要である。

参考文献

Orlando EJ, Han X, Tribouley C, et al. Genetic mechanisms of target antigen loss in CAR19 therapy of acute lymphoblastic leukemia.  Nature Medicine 2018; 24(10):1504–1506.   

Ruella M, Xu J, Barrett DM, et al. Induction of resistance to chimeric antigen receptor T cell therapy by transduction of a single leukemic B cell. Nature Medicine 2018; 24(10):1499–1503.

翻訳担当者 木下秀文

監修 吉原 哲(血液内科・細胞治療/兵庫医科大学)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

白血病に関連する記事

再発/難治性の白血病(CLL)で固定期間のピルトブルチニブ併用療法が有効の画像

再発/難治性の白血病(CLL)で固定期間のピルトブルチニブ併用療法が有効

ダナファーバーがん研究所の研究者は、再発・難治性の慢性リンパ性白血病を対象とした固定期間投与におけるブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬に関する初の無作為化第3相試験であるBRU...
B細胞性白血病(ALL)でイノツズマブ オゾガマイシンが残存病変を除去の画像

B細胞性白血病(ALL)でイノツズマブ オゾガマイシンが残存病変を除去

患者の70%で残存がん細胞が消失した。残存がん細胞が除去できるかどうかは、再発を予測する強力な指標であり、長期生存率の改善と関連している。イノツズマブ オゾガマイシン(販売名:ベスポン...
難治性白血病(AML)にレブメニブ経口薬併用療法で高い奏効率:欧州血液学会の画像

難治性白血病(AML)にレブメニブ経口薬併用療法で高い奏効率:欧州血液学会

再発または難治性の急性骨髄性白血病(AML)は、最も治療が困難な血液腫瘍の一つである。メニン阻害薬revumenib[レブメニブ]は、2024年11月に単剤療法として米国食品医薬品局(...
医療用画像診断による被ばくと小児のがん評価研究の画像

医療用画像診断による被ばくと小児のがん評価研究

400万人近くの小児および青年を対象とした研究により、小児の血液および骨髄がんの10%は、放射線被曝に起因している可能性が明らかにカリフォルニア大学サンフランシスコ校およびカリ...