FDAが急性リンパ芽球性白血病小児患者向けにグリベックを承認/FDAニュース
FOR IMMEDIATE RELEASE:2013年1月25日
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FDAが急性リンパ芽球性白血病小児患者向けにグリベックを承認
米国食品医薬品局(FDA)は、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ芽球性白血病(Ph+ALL)と新たに診断された小児患者に対するグリベック(イマチニブ)の適応を承認した。
ALLは小児癌のうち最も頻度が高く、(米国内で)年間約2,900人が罹患、治療をせず放置すると早く進行する。Ph+ALLの小児患者には遺伝子異常があり、これにより蛋白質チロシンキナーゼが骨髄を刺激し、未熟白血球の過剰産生を引き起こす。その結果、正常な感染防御能力を持つ白血球の産生が低下する。
チロシンキナーゼ阻害薬であるグリベックは、癌細胞の発達を促す複数の蛋白質を遮断する。Ph+ALLの小児患者には化学療法と併用で投与する。
「嬉しいことに子ども向けの抗癌剤が増えつつあります」とFDA医薬品評価研究センター血液腫瘍製品室所長であるRichard Pazdur医師は述べている。「今回の承認は、FDA、小児腫瘍グループ、米国国立癌研究所(NCI)が、癌に苦しむアメリカの子供たちにより良い新治療を与えたいと常に一体となってやってきた結果です」。
今回の新適応に係るグリベックの安全性と有効性は、NCIが出資する小児腫瘍グループによって行われた臨床試験で実証された。この試験は、治療から5年以内に疾患による合併症を発症する可能性が45%超と定義された非常にリスクの高いALLに罹患した1歳以上の小児および若年成人患者を対象に実施した。Ph+ALL患者92人が組入れられ、化学療法と併用したグリベックの投与期間を群ごとに変えた5つの治療群に割付けられた。
Ph+ALL患者50人がグリベック投与を最長期間にわたって投与され、同群の患者70%に4年以内の再発もしくは死亡は認められなかった(無イベント生存)。化学療法と併用したグリベックの投与期間が長いほど患者の死亡数が減るとの結果も得られた。
グリベックと化学療法の併用治療を受けたPh+ALL小児患者に最も頻繁に観察された副作用は、感染を防御する血液細胞である好中球数の減少、血液の凝固を補助する血小板の減少、肝毒性、および感染症であった。
グリベックは2001年に、Ph+慢性骨髄性白血病(CML)患者の急性転化、移行期、あるいはインターフェロンαによる治療が成功しなかった慢性期への適応が迅速承認された。以来、様々な疾患向けに承認されている。最近では、新たにPh+CMLと診断された小児に対する適応が通常承認され(2011年)、また、外科的切除を受けたKit(CD117)陽性消化管間質腫瘍(GIST)の成人患者に対する適応が通常承認された(2012年)。
グリベックはニュージャージー州イースト・ハノーヴァーを拠点とするノバルティス社が販売している。
詳しい情報については以下を参照のこと:
FDA: Office of Hematology and Oncology Products (血液腫瘍製品室)〔原文〕
FDA: Approved Drugs: Questions and Answers (承認薬:質問と回答)〔原文〕
NCI: Childhood Acute Lymphoblastic Leukemia(小児急性リンパ芽球性白血病)〔原文〕
Children’s Oncology Group(小児腫瘍グループ)〔原文〕
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村上智子 訳
吉原 哲(血液内科/造血幹細胞移植)監修
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