FDAがタシグナの新しい適応を承認
FOR IMMEDIATE RELEASE:2010年6月17日
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FDAがタシグナの新しい適応を承認
承認によりまれなタイプの白血病の治療に使用が広がる
米国食品医薬品局(FDA)は本日(6月17日)、まれな血液腫瘍の初回診断時の治療にTasigna〔タシグナ〕(nilotinib〔ニロチニブ〕)の新たな適応を承認した。フィラデルフィア染色体陽性、慢性期慢性骨髄性白血病(Ph+CP-CML)と呼ばれるこの悪性腫瘍は、遺伝子異常に関連した緩徐に進行する血液と骨髄の疾患である。
タシグナは白血病性細胞の発生につながるシグナルを阻止することにより作用すると考えられている。新たな適応は、成人患者に対するタシグナの使用を病期がより早い段階にある症例まで広げるものである。当初、FDAは2007年10月に、タシグナを疾患が進行しているか、グリベック(イマチニブ)を含む他の療法に耐容性がない成人Ph+CP-CML患者の治療に承認した。
タシグナが2007年10月に最初に承認されたとき、FDAは本治療にはQT延長と呼ばれる心拍リズム異常をもたらすリスクがあることを特定していた。FDAは2010年3月、患者および医療従事者が本リスクについてより理解できるように、タシグナのリスク評価・軽減方策(Risk Evaluation and Mitigation Strategy:REMS)を承認した。REMSには更新された医薬品ガイド(Medication Guide)および薬物と食物間の相互作用や間違った投与間隔などの投薬過誤を減らすためのコミュニケーション計画も含まれている。
「製薬会社にとって、治療抵抗性の癌における臨床的有効性を証明したなら、初期癌に対する治療薬の開発を続けることが重要である。この取り組みにより、より多くの患者が有効な治療を受けられるようになる可能性がある」とFDAの薬物評価研究センターの抗腫瘍薬製品室長であるRichard Pazdur医師は述べた。
CMLでは、過剰な血液幹細胞が顆粒球と呼ばれる白血球の一種に分化する。これらの顆粒球は異常で正常な白血球にならない。これらの細胞が血中および骨髄を占めるため、正常な白血球、赤血球および血小板のための場所が減少する。このような状態になると、感染、貧血または予期せぬ出血が起こることがある。
FDAはPh+CP-CMLに対するタシグナの優先審査を承諾した。本機関は審査を6カ月で完了した。タシグナの新しい適応はFDAの迅速承認制度によって承認された。この制度により、臨床的利点が合理的に予測できる評価項目に基づいて、まだ対処されていない医学的必要性のある重篤な疾患の治療薬をFDAが承認できる。企業はさらに薬の有益性を裏付ける長期間の有効性および安全性情報データを集める必要がある。迅速承認制度により、確認臨床試験が行われている間に有望な新薬を患者が早期に利用できるようになる。
タシグナの安全性および有効性は、新たにPh+CP-CMLと診断された846人の患者を対象とした単一の臨床試験で評価した。患者はタシグナまたはグリベックを疾患が悪化するか許容できない副作用が発現するまで投与された。本試験は、12カ月後における血中のCML腫瘍細胞数(分子遺伝学的大寛解))を代用評価項目として、腫瘍細胞の有意な減少を測定するようデザインされた。タシグナを投与された患者の約44%が主要分子反応を経験したが、グリベックを投与された患者では22%であった。
新たにCP-CMLと診断された患者において、最も多く報告された非血液関連の副作用は、発疹、かゆみ(そう痒)、頭痛、悪心、疲労および筋肉の痛み(筋肉痛)であった。重篤な血液関連の副作用は骨髄機能の低下(骨髄抑制)、血小板数の低値(血小板減少症)、感染と戦う白血球の減少(好中球減少症)および貧血であった。
FDAが承認した他のCML治療薬には、2001年5月承認のグリベックや2006年6月のスプリセル(ダサチニブ)がある。タシグナおよびグリベックはニュージャージー州イースト・ハノーバーを拠点とするノバルティス社が販売している。スプリセルはニューヨークを拠点としたブリストル・マイヤーズ スクイブ社が販売している。
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張 知子 訳
吉原 哲(血液内科・造血幹細胞移植/兵庫医科大学病院)監修
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