研究:慢性疲労症候群患者でマウス白血病ウイルス関連遺伝子配列の存在を発見

FOR IMMEDIATE RELEASE:2010年8月23日
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研究:慢性疲労症候群患者でマウス白血病ウイルス関連遺伝子配列の存在を発見

慢性疲労症候群(CFS)と診断された患者および一部の健康な献血者から採取した血液サンプルにマウス白血病ウイルス(MLV)に関連する遺伝子配列を発見したことが、本日発行された科学誌、全米科学アカデミー会報誌(Proceedings of the National Academy of Sciences:PNAS)の電子版に掲載された。

FDAの生物製剤評価センターおよびNIH臨床センターの研究責任医師らは、ハーバード大学医学部の研究医師らと共同して、慢性疲労症候群と診断された患者37人および健康な献血者44人の血液サンプルを検査した。

MLVは、レトロウイルスの一種でありマウスで癌を引き起こす。CFS患者37人中32人(87%)、および健康な献血者44人中3人(7%)の血液サンプルでいくつかの異なるMLV遺伝子配列の存在が確認された。研究責任医師らは、MLV様遺伝子配列を確認するため全ての陽性を増幅したサンプルについてDNA配列の解読を行った。

この研究は、以前報告された、慢性疲労症候群を有する人の血中に存在するとみられるMLV様ウイルスの遺伝子変異であるXMRV(異種指向性マウス白血病関連ウイルス)を指摘したサイエンス誌掲載の研究 [Lombardi et al. Science October 23, 2009 326: 585] を支持するもので、慢性疲労症候群の診断と血中のMLV様ウイルス遺伝子配列の存在との強い関連性を示す。また、MLV様ウイルス遺伝子配列は、ごく一部の健康な献血者にも認められたことも示した。慢性疲労症候群との統計学的な関連性は強いものの、これらのレトロウイルスが慢性疲労症候群の原因であることはこの研究では証明されていない。さらなる研究でXMRVまたは別のMLV関連ウイルスが慢性疲労症候群を引き起こす可能性があるか明らかにする必要がある。

2009年に発表された前述の研究では、慢性疲労症候群患者はXMRV感染の割合が高く、健康な献血者はXMRV感染の割合がわずかであるとの知見を報告している。一方、アメリカ(疾病対策予防センターの最新の報告を含む)、イギリス、およびオランダからのいくつかの別の研究報告によると、慢性疲労症候群患者の血中にXMRVまたはMLV様ウイルスのエビデンスは見つかっていない。

さらに詳しい情報については下記参照のこと:

Murine Leukemia Virus Gene Sequence Study – Questions and Answers
Xenotropic Murine Leukemia Virus-related Virus – Overview (CDC)
Xenotropic Murine Leukemia Virus-related Virus – Questions and Answers (CDC)

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湖月みき 訳
辻村信一 (獣医学/農学博士、メディカルライター)監修 
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原文


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