バルスチリマブ+ザリフレリマブ併用は進行子宮頸がん治療に有効

新たな免疫療法薬2剤の併用は、再発または進行子宮頸がんに罹患する女性に有効な新たな治療選択肢となる可能性があることが、オハイオ州立大学総合がんセンターのアーサー・G・ジェームズがん病院およびリチャード・J・ソロブ研究所(OSUCCC-James)の研究者ら主導による多施設共同第2相臨床試験の結果で明らかになった。

本試験は、再発/転移性子宮頸がんの女性を対象に、PD-1阻害薬balstilimab[バルスチリマブ]およびCTLA-4阻害薬zalifrelimab[ザリフレリマブ]の併用療法を検証した過去最大の臨床試験である。奏効率は26%(対象患者全員)であり、その中で完全奏効に達した患者は8%であり、また、PD-L1陽性患者における奏効率は32.8%であり、いずれも予想した奏効率の2倍であったと研究者らは報告する。

「検診のおかげで、大半の子宮頸がんは早期または前がん状態で発見されるので、治療がとても容易になりました。しかし、進行または再発子宮頸がんの女性にとって、がん管理を持続させる薬物療法は、いまだに限られています。バルスチリマブとザリフレリマブの併用は、特に腫瘍にPD-L1が発現している進行または再発子宮頸がんの患者の治療に有効かつ持続的な新選択肢であることを本データは示唆しています」と、David O’Malley医師(OSUCCC – James婦人科腫瘍医、連絡先著者)は述べる。

O’Malley 氏によると、腫瘍にPD-L1(プログラム細胞死リガンド 1)という特定の腫瘍マーカーが発現している患者で治療効果が最も顕著であったが、PD-L1の状態にかかわらず本薬剤併用による治療効果は有意であった。

研究チームは、Journal of Clinical Oncology誌オンライン版(2021年12月21日付)に本知見を報告した。

子宮頸がんは婦人科がんの中で最も多く、世界のがん死因の第4位を占めている。現在、再発または転移性疾患の患者に対する免疫療法で承認済みの治療選択肢は1種類のみである。

本試験にあたり、研究者らは、2種類の分子標的治療薬、すなわち治験用モノクローナル抗体薬バルスチリマブおよび治験薬ザリフレリマブは、進行/再発子宮頸がん患者に有効かつ持続的な効果をもたらすという仮説を立てた。研究者らは、米国、欧州、南米、およびオーストラリアの45の施設から、24歳から76歳までの女性155人を本試験に登録した。登録者全員が、プラチナベース化学療法による治療を受けていた。

患者らは、バルスチリマブおよびザリフレリマブの併用治療を6週間サイクルで最長2年間、または病勢進行や副作用により治療の継続が困難になるまで受けた。

全病勢コントロール率(部分奏効、完全奏効、安定の患者)は52%であった。腫瘍に細胞受容体PD-L1が発現している患者らの全奏効率は32.8%であり、安全性プロファイルは許容範囲であった。

研究者らは、第3相臨床試験でも引き続き本薬剤併用療法の評価をしている。

この研究はAgenus Inc.社の支援を受けた。O’Malley医師は、数人の研究共著者とともに、同社の相談役または顧問を務める。本研究の共著者は原文参照のこと。

翻訳担当者 佐藤美奈子

監修 勝俣範之(腫瘍内科/日本医科大学武蔵小杉病院)

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