再発/転移子宮頸がんにチソツマブ ベドチンを迅速承認

2021年9月20日、米国食品医薬品局(FDA)は、化学療法中または化学療法後に疾患が進行し、再発または転移のみられる子宮頸がんの成人患者を対象に、組織因子指向性抗体-微小管阻害剤複合体であるチソツマブ べドチン(販売名:Tivdak、Seagen Inc.社)を迅速承認した。

今回の承認は、非盲検、多施設共同、単群の臨床試験であるinnovaTV 204(NCT03438396)の結果に基づくものである。本試験では、プラチナ製剤を用いた化学療法レジメンを1種類以上含む、2種類以下の全身治療を受けた再発または転移のみられる子宮頸がん患者101人を対象に、有効性を評価した。69%の患者は、それまでの全身治療の中にベバシズマブの投与を受けていた。患者は3週間ごとにチソツマブ べドチン2mg/kgの投与を受け、疾患が進行するか許容できない毒性が認められるまで投与を継続した。

主な有効性評価指標は、独立審査委員会(IRC)がRECIST v1.1を用いて評価した客観的奏効率(ORR)と奏効期間(DOR)であった。ORRは24%(95%信頼区間[CI]:15.9%、33.3%)で、奏効期間の中央値は8.3カ月(95%CI:4.2、未到達)であった。

臨床検査値の異常を含む、最も頻度の高い副作用(25%以上)は、ヘモグロビン減少、倦怠感、リンパ球減少、悪心、末梢神経障害、脱毛、鼻出血、結膜の副作用、出血、白血球減少、クレアチニン上昇、ドライアイ、プロトロンビン国際標準化比上昇、活性化部分トロンボプラスチン時間延長、下痢、発疹であった。製品の添付文書には、眼毒性の枠囲み警告(boxed warning) が記載されている。

推奨用量は2mg/kg(体重100kg以上の患者には最大200mgまで)であり、3週間ごとに30分以上かけて点滴静注し、疾患の進行または許容できない毒性が認められるまで投与する。

Tivdakの全処方情報はこちらを参照。

翻訳担当者 滝坂美咲

監修 喜多川亮(産婦人科/総合守谷第一病院 産婦人科)

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