マリファナが精巣腫瘍リスクを増大する可能性

キャンサーコンサルタンツ

Cancer誌のオンライン速報版で発表された研究結果によると、娯楽目的のマリファナの使用により、予後の悪いタイプの精巣腫瘍を発症するリスクが増大するかもしれない。

精巣腫瘍は15歳から45歳の若年男性で診断される最も一般的な癌である。精巣は陰嚢(陰茎の真下にある弛緩性の皮膚嚢)の内部にある。精巣腫瘍は胚細胞癌とも呼ばれ、片方または両方の精巣組織に発生する。精巣腫瘍は比較的まれであり、根治率も高い。しかし、精巣腫瘍の発生率は上昇傾向にあり、実際、その発生率は米国では1975年から2002年までの期間に2倍に上昇した。

精巣腫瘍の原因は不明のところが多い。先進国における精巣腫瘍有病率が発展途上国よりも高いことから、環境要因と関連する可能性が示唆されている。精巣腫瘍発生率の上昇は思春期早発、精巣の外傷、タバコやマリファナの喫煙、および鉛などの毒物への曝露と関係がある。

University of Southern Californiaの研究者達はレクリエーショナルドラッグの使用と癌との間の関連を研究した。試験には1986年から1991年までの期間にロサンゼルス郡で精巣腫瘍と診断された男性163人、および年齢、人種/民族性と地域を対応させた健常対照292人が登録された。参加者には薬物使用について対面形式で構成的インタビューが行われた。

研究者らはマリファナ使用歴のある男性では使用歴のない男性と比較して、精巣腫瘍のリスクが2倍に上昇することを発見した。しかも、マリファナの使用はセミノーマ型精巣腫瘍よりも予後の悪い、非セミノーマ型、混合型胚細胞癌と呼ばれるタイプの精巣腫瘍の発生率が高くなることと密接に関連するようであった。

マリファナと精巣腫瘍が関連する理由については明らかでないが、この関連をさらに調査すべく研究が進行中である。当面の間、マリファナをやってみようと思う男性は、遊びであれ、治療目的であれ、潜在的な癌のリスクのあることを考えてみるべきである。

参考文献:
Lacson JCA, Carroll JD, Tuazon E, et al. Population-based case-control study of recreational drug use and testis cancer risk confirms an association between marijuana use and nonseminoma risk. Cancer. Published early online September 10, 2012. DOI: 10.1002/cncr.27554


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翻訳担当者 小縣正幸

監修 朝井鈴佳(獣医学・免疫学)

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