術後ペムブロリズマブは特定の腎臓がんの無病生存期間を延長

米国臨床腫瘍学会(ASCO)の見解

「淡明細胞型腎細胞がん患者は手術をしても再発がしばしば起こり、再発した場合の治癒的治療選択肢は限られます。しかし、KEYNOE-564試験でぺムブロリズマブが効果を上げたことにより、まもなく、この患者さんたちには新たな標準治療が得られるでしょう」と、米国臨床腫瘍学会(ASCO)副会長および最高医学責任者Julie R. Gralow医師(FACP:米国内科学会フェロー、FASCO:ASCOフェロー)は語った。

最も一般的な種類の腎臓がんである淡明細胞型腎細胞がんの患者の無病生存期間が術後の免疫療法で有意に延長された。2021年ASCO年次総会で発表される第3相国際試験で、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)が、現在、他の選択肢がほとんどない患者に有効な治療を提供できることがわかった。KEYNOTE-564試験は、完全切除後の高リスク腎細胞がん患者の無病生存を延長するために、術後補助療法にチェックポイント阻害薬を用いた初の第3相試験である。

【試験の概要】

焦点: 術後補助療法としてぺムブロリズマブによる免疫療法が有効かつ安全であるかどうか見きわめる。

対象: 

組織学的に淡明細胞型腎細胞がんが確認された、以下の患者994人
・再発リスクが中等度~高度または高度である患者、または、
・腎摘出術後1年以内に原発巣および軟部組織転移を完全に切除した後に病変が認められない患者

結果:

追跡調査期間中央値24カ月の時点で、ペムブロリズマブ投与群は、疾患の再発または死亡のリスクが32%減少した。また、24カ月の推定無病生存率は、プラセボ投与群の68.1%に対し、ペムブロリズマブ投与群では77.3%であった。全般的に、無病生存率における有用性はサブグループ間で一貫していた。

24カ月時点の推定全生存率は、プラセボ投与群の93.5%に対し、ペムブロリズマブ投与群で96.6%であった。

すべてのグレード3~5有害事象は、プラセボ投与群よりペムブロリズマブ投与群で多く発生し、それぞれ17.7%、32.4%であった。ペムブロリズマブ投与群で治療関連の死亡例はなかった。

意義:

本試験結果は、淡明細胞型腎細胞がんを完全切除しても再発リスクが中等度~高度の患者の疾患再発を抑制するための新たな潜在的標準治療として、ペムブロリズマブ術後療法を支持している。

【主な結果】

本試験の最初の中間解析(追跡調査期間中央値24カ月)では、プラセボ投与群と比較して、疾患再発または死亡のリスクが32%減少していた。また、24カ月の推定無病生存率は、プラセボ投与群の68.1%に対し、ペムブロリズマブ投与群は77.3%であった。全般的に、無病生存率における有用性はサブグループ間で一貫していた。

また、24カ月の推定全生存率は、ペムブロリズマブ投与群で96.6%、プラセボ投与群で93.5%であった。

すべてのグレード3~5有害事象は、プラセボ投与群よりペムブロリズマブ投与群で多く発生し、それぞれ17.7%、32.4%であった。ペムブロリズマブ投与群で治療関連の死亡例はなかった。

「ペムブロリズマブは、治療法の選択肢がほとんどない患者に有望な治療法を提供できる可能性があります。KEYNOTE-564試験の無病生存率は、淡明細胞型腎細胞がんを完全切除した患者の疾患再発を遅らせるための術後補助療法において、ペムブロリズマブが新たな標準治療となる可能性を裏付けています」と、ダナファーバーがん研究所の泌尿器がんランクセンター所長であり、筆頭著者のTony Choueiri医師は述べている。

腎がんは、男女ともによくみられる病気である。ほとんどの患者は局所的に病変を呈するが、最大で40%が術後に転移病変を発症する。1

腎細胞がんの治療には、腎部分切除術による腫瘍の除去、または根治的腎切除術による腎臓全体の除去が一般的に行われる。しかし、リスクが中等度~高度に進行した病変がある患者には、再発のリスクがある。現在、術後の標準治療法はない。

ペムブロリズマブは、チェックポイント阻害薬と呼ばれる免疫療法薬の一種であり、腫瘍細胞の表面にあるタンパク質(PD-1)を阻害することで、腫瘍細胞に対する免疫系の反応を改善する。PD-1を標的とした治療は、転移腎細胞がんの治療での有効性と安全性が証明されていることから、研究者らはPD-1を、術後の疾患再発を防止するための新たな標的として検討した。

【試験について】

この第3相試験では、患者994人を、術後12週間以上経過した時点で、ペムブロリズマブまたはプラセボを投与する群に1対1の割合で無作為に割り付けた。

試験の主要評価項目は無病生存期間で、全生存期間が主要な副次評価項目であった。組織学的に淡明細胞型腎細胞がんであることが確認された、以下の基準に該当する患者を登録した。

再発リスクが中等度~高度または高度である患者か、腎摘出術後1年以内に原発巣および軟部組織転移を完全に切除した後、病変が認められない患者。

【次のステップ】

早期のOS結果が発表されるが、長期の全生存期間データについては患者を追跡調査する予定である。

参考文献

1. Motzer RJ, Ravaud A, Patard JJ, et al. Adjuvant Sunitinib for High-risk Renal Cell Carcinoma After Nephrectomy: Subgroup Analyses and Updated Overall Survival Results. Eur Urol. 73:62-68, 2018.

翻訳担当者 有田香名美

監修 榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)

原文を見る

原文掲載日 

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

腎臓がんに関連する記事

腎がん術後キイトルーダの延命効果が初めて試験で示されたの画像

腎がん術後キイトルーダの延命効果が初めて試験で示された

米国臨床腫瘍学会(ASCO)ASCO専門家の見解「KEYNOTE-564試験の最新結果は、腎臓がんの術後療法におけるペムブロリズマブ(販売名:キイトルーダ)の有効性に焦点を当て...
体幹部定位放射線治療(SBRT)が早期腎臓がんの重要な治療法となる可能性の画像

体幹部定位放射線治療(SBRT)が早期腎臓がんの重要な治療法となる可能性

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ一部の腎臓がん患者にとって、体幹部定位放射線治療(SBRT)と呼ばれる治療法は、手術が選択できない場合に非常に有効な治療法と考えられることが...
ベルズチファンはエベロリムスより進行腎がんの予後を改善の画像

ベルズチファンはエベロリムスより進行腎がんの予後を改善

ダナファーバーがん研究所免疫チェックポイント阻害薬および抗血管新生薬による治療歴のある患者において、新たな安全性の懸念が生じることなく無増悪生存期間が改善した

第3相臨床試験において、ベ...
進行腎臓がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の逐次投与を強く否定する研究結果の画像

進行腎臓がんに対する免疫チェックポイント阻害薬の逐次投与を強く否定する研究結果

ダナファーバーがん研究所研究の概要

表題:免疫チェックポイント阻害薬による治療の後進行した転移性腎細胞がんに対するアテゾリズマブ+カボザンチニブ併用療法とカボザンチニブ単独療法の有効性と...