FDAが進行性腎臓癌の新治療薬Votrientを承認

FOR IMMEDIATE RELEASE:2009年10月19日
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FDAが進行性腎臓癌の新治療薬Votrientを承認

米国食品医薬品局(FDA)は本日(10月19日)、腎臓癌に関しては2005年以降6番目の承認薬となるVotrient(パゾパニブ)を承認した。Votrientは血管新生(固形腫瘍が成長し生存していくうえで必要な新生血管の成長)を阻害する経口投与剤である。

Votrientは進行性腎細胞癌患者を対象としている。腎細胞癌は、癌細胞が腎臓内の微細な管(尿細管)の上皮にみられるタイプの腎臓癌である。2009年には、約49,000人が腎細胞癌と診断され、11,000人がこの病気で死亡している。

「この5年間に腎臓癌患者の治療選択肢は劇的な進歩がみられた。2005年以前に利用可能な治療法では限定的な効果しか得られていなかった」とFDA医薬品評価研究センター抗腫瘍薬製品室長のRichard Pazdur医師は述べる。

腎臓癌を対象として承認された他の5つの薬剤およびその承認日は、ソラフェニブ(2005年12月)、スニチニブ(2006年1月)、テムシロリムス(2007年5月)、エベロリムス(2009年3月)およびベバシズマブ(2009年7月)である。

Votrientの安全性と有効性は、患者435人を対象とした試験において、患者の無増悪生存期間を調査することで評価した。無増悪生存期間とは、試験に参加してから腫瘍が再び成長を始めるまで、または患者が死亡するまでの期間の長さである。Votrientの投与を受けた患者の無増悪生存期間は平均9.2カ月で、これに対して本剤を投与されなかった患者は4.2カ月であった。

副作用としては、下痢、高血圧、毛髪の色の変化、嘔気、食欲不振、嘔吐、疲労、衰弱、腹痛や頭痛などが挙げられる。Votorientはまた、深刻かつ致命的な肝毒性を引き起こすことがある。医療従事者は、本剤の投与前および投与中に肝機能をモニターするために血液検査を指示すべきである。Votorientは胎児にとって有害となる可能性があるため、妊娠中の使用は控えるべきである。

本剤によって不整脈が発現する場合もある。Votrient投与を受ける患者は、定期的に心電図で心調律をモニターし、また電解質の不均衡が不整脈の原因になる可能性があるので、血液検査で電解質のモニターをするべきである。

Votrientはロンドンに拠点を置くグラクソ・スミスクライン社が製造している。

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杉田 順吉 訳
九鬼 貴美(腎臓内科) 監修 
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原文


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