免疫療法中止後も、腫瘍抑制が持続する可能性

専門家の見解

「この研究は、有害作用のために免疫療法を継続できない患者にとって歓迎すべきニュースです」と、米国臨床腫瘍学会(ASCO)の専門医で、本日のPresscast の司会でもあるSumanta Pal医師は述べた。「患者によっては免疫療法を中止しなければならない場合でも、免疫療法の恩恵を持続して得られる可能性があるのは非常に心強いことです。患者をより長期間経過観察しなければなりませんが、さらに広い意味でこれらの知見は、継続的に免疫療法治療を実施する現行の基準に疑問を呈しています」。

新しい研究から得られた初期の知見は、免疫チェックポイント阻害療法の現在の標準的慣行である、がん増悪まで治療を継続する方針の正当性を疑うものに思われる。副作用のためにPD1/PD-L1免疫療法を早期に中止した進行腎臓がん患者のうち、42%には持続的反応がみられた。これは、患者が追加の全身療法を6カ月以上休止できることを意味する。さらに広い意味では、この見解は免疫療法中止の影響について患者が持つ懸念を軽減するのに役立つ可能性がある。この研究は、オーランドで開催される予定の2017年泌尿生殖器がんシンポジウムで発表される。

後向きのケースシリーズのデータではあるものの、著者によれば、これは免疫が関連する副作用によってPD-1/PD-L1免疫チェックポイント阻害療法を中止した、転移腎細胞がん(RCC)患者の転帰を評価する、初めての体系的な研究である。

「医学においては、受ける治療の恩恵とリスクのバランスを常に考えています」と、カリフォルニア大学サンディエゴ校医学部助教でもある、研究筆頭著者のRana R. McKay医師は述べた。「これは小規模な研究で、得られた知見はより大規模なグループ内で検証しなければなりませんが、複数の症例において治療の中止後であっても免疫療法の恩恵が持続する可能性があることを明確に示しています」。

研究

この分析には、免疫チェックポイント阻害療法が奏効した19人の進行した腎臓がん(転移性の腎細胞がん)患者から成る、ハーバード大学が主導する国際コホートを組み入れた。患者の大半(63%)は単独治療としてPD-1/PD-L1療法を受け、37%はその他の全身療法とPD-1/PD-L1阻害薬との併用療法を受けた。

免疫療法が実施された期間の中央値は5.5カ月であった。すべての患者が、関節痛、目の不調、下垂体・筋肉・心臓・肝臓・膵臓・腎臓・肺の炎症、下痢など、免疫が関連する有害作用のために、免疫療法を早期に中止した。

重要な知見と次の局面

4人の患者において治療を中止した直後にがんが増悪した一方で、8人(42%)の患者に持続的な反応が見られ、治療の中止から少なくとも6カ月間は、追加治療を休止できた。この知見は新規性があり、説得力もあるが、研究の集団が小規模なため、研究者たちは将来、より多くの患者が分析に組み入れられることを期待している。これは、どのような臨床的特徴が免疫療法に対する持続的な反応に関連しているかという点について、手がかりを与えるものである。

一方で研究者たちは、治療に反応している 患者に対する免疫療法中止による有効性をさらに調査する前向き臨床試験の計画を進めている。

腎がんについて

米国では2017年におよそ64,000人が腎がんと診断され、14,400人以上が腎がんによって死亡すると推定されている。腎がんの罹患率はこの10年間に着実に上昇している。腎細胞がんは成人の腎がんではもっとも一般的な種類で、診断の約85%を占める。

この研究は、ダナファーバー/ハーバードがんセンター腎臓SPORE、Trust Family、Michael Brigham、およびLoker Pinより助成金を得ている。

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翻訳担当者 三木村 秋

監修 大野 智(補完代替医療/大阪大学・帝京大学)

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