免疫療法+標的治療併用が進行腎臓がんの生存率を改善

研究概要 

ダナファーバーがん研究所
研究タイトル :
進行腎細胞がんの一次治療としてのレンバチニブ+ペムブロリズマブ併用療法とスニチニブ単剤療法の比較:非盲検ランダム化第3相試験(CLEAR試験)の長期追跡試験

掲載:
The Lancet Oncology誌
2023年2月27日 午後6時30分(日本時間)
https://www.thelancet.com/journals/lanonc/article/PIIS1470-2045(23)00049-9/fulltext

著者:
ダナファーバーがん研究所 Toni Choueiri医学博士

概要:

第3相CLEAR試験の結果、進行腎細胞がん(腎臓がん)患者を対象としたレンバチニブとペムブロリズマブの併用療法の顕著な有効性が確認された。レンバチニブは、腫瘍血管新生に関わるタンパク質を標的とした経口キナーゼ阻害薬であり、ペムブロリズマブは、免疫系ががんを攻撃するのを助けるチェックポイント阻害薬で点滴静注する。

CLEAR試験の結果は、当初、2021年4月のThe New England Journal of Medicine誌にて報告されたが、この度、その長期追跡試験の結果がThe Lancet Oncology誌に掲載された。今回の追跡調査では、未治療の転移性腎臓がん患者の一次治療としてレンバチニブ+ペムブロリズマブ併用療法(23.3カ月)がスニチニブ単剤(9.2カ月)による治療より長い無増悪生存期間をもたらすことが判明した。

同調査ではまた、レンバチニブ+ペムブロリズマブは、スニチニブ単剤と比較し、全生存期間も改善することが示された。

影響:

今回発表されたデータは、CLEAR試験における一次解析の結果と一致しており、腎細胞がんの標準治療における一次治療としてのレンバチニブ+ペムブロリズマブの使用を支持するものである。今回の長期追跡試験において、レンバチニブ+ペムブロリズマブは、無増悪生存期間、全生存期間、客観的奏効率のすべてにおいてスニチニブ単剤を上回る結果を示した。

  • 監訳 高濱隆幸(腫瘍内科・呼吸器内科/近畿大学病院 ゲノム医療センター)
  • 翻訳担当者 高橋多恵
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  • 原文掲載日 2023/02/27

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