FDAが膀胱がんにアデノウイルスベクターによる遺伝子療法薬を初承認

FDAが膀胱がんにアデノウイルスベクターによる遺伝子療法薬を初承認

2022年12月16日、米国食品医薬品局(FDA)は、乳頭状がんの有無を問わず上皮内がん(CIS)を併発した高リスク カルメット・ゲラン桿菌(BCG)不応性筋層非浸潤性膀胱がんの成人患者を対象として、nadofaragene firadenovec-vncg(販売名:Adstiladrin、Ferring Pharmaceuticals社)を承認した。

有効性は、高リスクの筋層非浸潤性膀胱がん患者157人を対象とした多施設共同単群試験であるCS-003試験(NCT02773849)で評価され、そのうち98人は効果判定可能なBCG不応性上皮内がん患者であった。患者は、3カ月に1回のnadofaragene firadenovec 75 mL(3×1011 ウイルス粒子/mL [vp/mL])の膀胱内注入を、最長12カ月間、もしくは許容できない毒性の発現または高異型度筋層非浸潤性膀胱がんの再発まで受けた。高異型度再発のない患者には、3カ月に1回のnadofaragene firadenovec投与を継続した。

有効性の主要評価項目は、任意の時点における完全奏効(CR)および奏効期間(DoR)であった。CRの定義は、適応可能な経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)または生検を伴う膀胱鏡検査、ならびに尿細胞診が陰性とした。12カ月時点でCRが継続している患者には、5カ所の膀胱ランダム生検を実施した。CR率は51%(95%CI:41%、61%)、DoR中央値は9.7カ月(範囲:3、52+)、奏効患者の46%が1年間以上CRを維持した。

特に多く見られた副作用(10%以上)および臨床検査値異常(15%超)は、血糖増加、注入部位分泌物、トリグリセリド増加、疲労、膀胱れん縮、尿意切迫、クレアチニン増加、血尿、リン酸減少、悪寒、排尿困難および発熱であった。

nadofaragene firadenovecの推奨用法用量は、75 mL(濃度 3×1011 vp/mL)を3カ月に1回、尿道カテーテルで膀胱内に注入する。注入前に毎回、抗コリン薬の前投与が推奨される。

Adstiladrinの全処方情報はこちらを参照。



監訳 榎本 裕(泌尿器科/三井記念病院)

翻訳担当者 粟木 瑞穂

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原文掲載日 2022/12/19


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