FDAが尿路上皮がんでのアテゾリズマブとペムブロリズマブの使用を制限

FDAが尿路上皮がんでのアテゾリズマブとペムブロリズマブの使用を制限

米国食品医薬品局(FDA)は、シスプラチンを含む化学療法に適格でない局所進行または転移性尿路上皮がん患者に対して、アテゾリズマブおよびペムブロリズマブの使用を制限した。

転移性尿路上皮がん患者を対象とした臨床試験において、前治療歴がなく、PD-L1発現が低い患者では、プラチナベースの化学療法と比較し、ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)またはアテゾリズマブ(商品名:テセントリク)の単剤療法(単独療法)では生存率の低下がみられたため、政府機関は2018年6月19日に本措置に踏み切った。

両薬剤の薬剤添付文書は、適応の制限を反映するよう改訂された。適応は以下のとおりである。

ペムブロリズマブは、局所進行または転移性尿路上皮がん患者で、シスプラチンを含む化学療法に適格でなく、腫瘍がPD-L1(Combined Positive Score≧10)の発現を示す患者、あるいはPD-L1の状態にかかわらず、いかなるプラチナ製剤を含む化学療法が適応でない患者への治療に使用する。

アテゾリズマブは、局所進行または転移性尿路上皮がんを有する次のような患者の治療に使用する。

・シスプラチンを含む化学療法に適格でなく、FDAが承認した検査によってPD-L1の発現が確認された腫瘍(PD-L1で染色された腫瘍浸潤免疫細胞[IC]が腫瘍領域の5%以上を占める)を有する患者。

あるいは

・PD-L1の状態にかかわらず、いかなるプラチナを含む化学療法にも適格でない患者。

2018年7月2日、FDAは尿路上皮がん組織中にPD-L1で染色された腫瘍浸潤免疫細胞が5%以上あるかを調べる目的で、Ventana PD-L1 (SP142) Assay (Ventana Medical Systems, Inc.社)を承認した。本試験は、局所進行または転移性尿路上皮がんを有する患者に対し、アテゾリズマブ(Genentech Inc.社)の治療に適した患者を選択するために使用するものである。FDAはまた、患者選択にFDA承認済み検査の使用を求めるよう、アテゾリズマブの処方情報を更新した。

PD-L1発現を決定する検査で用いられる検査法については、各薬剤のラベルのSection 14に記載されている(*サイト注:日本の添付文書にはそのような項目はない)。FDAは進行中の分析結果をレビューしており、PD-L1 検査および適応について新しい情報が入り次第、伝達するようにしている。

アテゾリズマブ処方情報

ペムブロリズマブ処方情報

翻訳担当者 橋本奈美

監修 高濱隆幸(腫瘍内科/近畿大学医学部附属病院)

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原文掲載日 

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