FDAが進行または転移性尿路上皮がんにペムブロリズマブを承認

米国食品医薬品局(FDA)は2017518日、プラチナベースの化学療法施行中もしくは施行後、またはプラチナベースの術前もしくは術後化学療法施行後12カ月以内に病勢が進行した局所進行または転移性尿路上皮がん患者に対し、ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ、Merck and Co., Inc社)を通常承認した。

FDAはまた、シスプラチンベースの化学療法に適格でない局所進行または転移性尿路上皮がん患者に対し、ペムブロリズマブを迅速審査により承認した。

二次治療の適応に対する通常承認は、プラチナベースの化学療法施行中もしくは施行後に病勢が進行した局所進行または転移性尿路上皮がん患者を対象とした多施設共同ランダム化実薬対照試験であるKEYNOTE-045試験の結果に基づいていた。ペムブロリズマブ200 mg3週間ごとに投与する群(270人)、または試験責任医師が選択した化学療法レジメン(パクリタキセル(84人)、ドセタキセル(84人)、ビンフルニン(87人)を3週間ごとに投与する群(272人)に、患者を無作為に割り付けた(11)。本試験において、ペムブロリズマブ群患者の全生存期間(OS)および奏効率(ORR)が、化学療法群患者と比較して統計学的有意に改善した。OS中央値は、ペムブロリズマブ群、化学療法群で、それぞれ10.3カ月、および7.4カ月であった(ハザード比0.7395%信頼区間0.590.91p=0.004)。ORRは、ペムブロリズマブ群で21%、化学療法群で11%であった(p=0.002)。両群間の無増悪生存期間においては、統計学的な有意差は認められなかった。

一次治療の適応に対する迅速承認は、シスプラチンベースの化学療法に適格でないと考えられる局所進行または転移性尿路上皮がん患者370人を対象とした単群非盲検試験であるKEYNOTE-052試験の結果に基づいていた。ペムブロリズマブ200 mg3週間ごとに患者に投与した。中央値7.8カ月の追跡期間で、ORR28.6%(95%信頼区間2434)であり、奏効期間中央値には未到達であった(範囲1.417.8カ月)。

両試験におけるペムブロリズマブ群患者の20%以上で報告された主な副作用は、疲労、筋骨格痛、そう痒症、食欲減退、悪心、下痢、便秘、発疹であった。副作用により、KEYNOTE-045試験の患者の8%およびKEYNOTE-052試験の患者の11%で、ペムブロリズマブ二次治療が中止となった。両試験の患者の約20%でペムブロリズマブの投与を中断した。ペムブロリズマブ群患者の約40%で重篤な有害反応が認められた。肺臓炎、大腸炎、肝炎、内分泌疾患などの免疫介在性副作用が報告され、添付文書の警告および使用上の注意の項目に記載された。

尿路上皮がんの治療に対するペムブロリズマブの推奨用量および投与スケジュールは、3週間ごとに200 mg30分以上かけて点滴静注するものである。

ペムブロリズマブの添付文書情報は以下を参照のこと:

https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2017/125514s017s018lbl.pdf

FDAは、これらの適応に対する優先審査認定をペムブロリズマブに付与した。本申請に先立ち、ペムブロリズマブは二次治療の適応に対し画期的治療薬指定を受けた。一次治療の適応に対するペムブロリズマブの臨床的利益を裏づけるため、追加試験が必要である。FDAの促進プログラムの詳細は、業界向けのガイダンス「重篤疾患のための迅速承認プログラム医薬品および生物学的製剤(Expedited Programs for Serious Conditions-Drugs and Biologics)」で閲覧できる:http://www.fda.gov/downloads/drugs/guidancecomplianceregulatoryinformation/guidances/ucm358301.pdf.

医療従事者は、あらゆる医薬品および医療機器の使用との関連が疑われるすべての重篤な有害事象を、http://www.fda.gov/medwatch/report.htmのオンラインフォームへの入力、オンライン上の宛先フォームに料金受取人払いでFAX1-800-FDA-0178)または郵送、もしくは電話(1-800-FDA-1088)のいずれかの方法で、FDAMedWatch Reporting Systemに報告すること。

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翻訳担当者 生田亜以子

監修 辻村信一(獣医学・農学博士、メディカルライター/メディア総合研究所) 

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