FDAが白金治療後の転移性尿路上皮がんにアテゾリズマブを承認

速報

米国食品医薬品局(FDA)は、本日、膀胱がんの一種である尿路上皮がんに対して、atezolizumab[アテゾリズマブ](商品名:Tecentriq)を承認した。アテゾリズマブはPD-1/PD-L1阻害剤としては初めてこの種のがん(泌尿器がん)に承認された。

FDAの医薬品評価研究センター(CDER)、血液・腫瘍製品室長であるRichard Pazdur医師は次のように述べる。「アテゾリズマブ承認により、PD-L1経路を標的とする新たな治療法が患者にもたらされることになります。PD-1 / PD-L1相互作用を遮断する治療薬の承認は、身体の免疫系とがん細胞との相互作用の関係における研究成果の一部であり、今後も大きく進展していくでしょう」。

アテゾリズマブは、PD-1 / PD-L1経路(体の免疫細胞上または一部のがん細胞に見つかるタンパク質)を標的とする。これらの相互作用を遮断することによって、アテゾリズマブは、身体の免疫系ががん細胞と戦うのを助ける。アテゾリズマブは、FDAが承認した初のPD-L1阻害剤であり、かつ過去2年間にFDAが承認したPD-1 / PD-L1標的バイオ医薬品のなかで最新の治療薬となる。

アテゾリズマブは、局所進行または転移性尿路上皮がん患者のうち、プラチナベース化学療法中か治療後に増悪した患者、または術前術後(ネオアジュバント、アジュバント)いずれかでプラチナベース化学療法を受けた後、12カ月以内に増悪した患者の治療薬として承認された。尿路上皮がんは、膀胱がんの中で最も多いがんであり、膀胱および関連する器官を含む尿路系に発生する。米国国立がん研究所(NCI)によると、2016年に新たに76,960人が膀胱癌に罹患し、16,390人が同疾患で死亡すると推定されている。

アテゾリズマブの安全性と有効性は、局所進行または転移性尿路上皮がん患者310人を対象とした単群の臨床試験で評価された。この試験では、腫瘍が完全退縮または部分退縮した患者の割合を測定した(客観的奏効率)。試験ではまた、患者の腫瘍浸潤免疫細胞上のPD-L1タンパク発現の有無に基づいて効果の違いを検討した。全患者の解析では、参加者の14.8%で少なくとも腫瘍の部分退縮が認められた。また奏効期間の解析では、2.1カ月から13.8カ月以上効果が持続した。PD-L1発現「陽性」と分類された患者では、参加者の26パーセントで奏効が示された(PD-L1発現「陰性」では9.5%)。

アテゾリズマブ投与患者は、試験全体で奏効が認められたが、PD-L1「陽性」に分類された患者の中でより大きな効果が認められた。このことは腫瘍浸潤性免疫細胞におけるPD-L1発現量により、アテゾリズマブ治療に反応する可能性が高い患者を特定できる可能性を示唆している。このことから本日、FDAは患者の腫瘍浸潤免疫細胞上のPD-L1タンパクの発現レベルを検出し、アテゾリズマブを用いた治療から最も恩恵を受ける可能性がある患者を医師が判断するのに有用なベンタナPD-L1(SP142)アッセイ(Ventana PD-L1 (SP142) assay)を併せて承認した。

アテゾリズマブによる治療の最も多い副作用は、疲労、食欲不振、吐気、尿路感染症、熱(発熱)、便秘であった。アテゾリズマブはまた、感染およびアテゾリズマブの免疫系に対する作用に起因する重篤な副作用(「免疫媒介による副作用」として知られる)を引き起こす可能性がある。これらの重症免疫媒介性の副作用は、肺、大腸、内分泌系などの健康な器官に影響を与える。

FDAはアテゾリズマブについて画期的治療への指定、優先審査認定、および迅速承認を許可した。これらは重篤な、または生命を脅かす病態の患者に利益をもたらすため、可能性ある新薬の開発と審査を容易かつ迅速に行うよう意図された特別な制度である。

アテゾリズマブは、カリフォルニア州サンフランシスコに拠点を置くGenentech社、またコンパニオン診断薬であるベンタナPD-L1(SP142)アッセイは、アリゾナ州ツーソン拠点のVentana Medical Systemsにより販売される。

翻訳担当者 野中 希

監修 橋本仁(獣医学)

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