Ixabepilon(イクサベピロン)が非小細胞肺癌(NSCLC)、膀胱癌、前立腺癌で評価される

キャンサーコンサルタンツ
2007年8月

最近、イクサベピロンを非小細胞肺癌、膀胱癌、前立腺癌の3つにおいて評価する臨床試験が行われた。イクサベピロンは微小管に結合し微小管安定化と有糸分裂停止に至るepothilone B analogである。最近イクサベピロン単剤の転移性乳癌患者での顕著な有効性を証明するいくつかの発表があった。

米国とヨーロッパの多施設試験は第1選択治療のプラチナ製剤を用いた化学療法が奏効しなかった非小細胞肺癌患者でイクサベピロンの顕著な有効性を証明した。[1]この第2相試験は2つの異なる治療計画を評価し146人の患者を登録した。イクサベピロン単剤を患者に1回の3時間静注投与か、1時間静注で5日間連続投与のいずれかで投与した。2つの治療群で有意な相違は見られなかった。客観的奏効率は12-14%、奏効期間中央値は9-10ヶ月、無進行期間中央値は1.5-2ヶ月、生存期間中央値は7-8ヶ月であった。両治療群とも1年生存率は38%であった。これらの著者はプラチナ製剤抵抗性でタキサンが奏効しなかった患者でも奏効がみられたと報告した。

サンフランシスコのカリフォルニア大学の研究者らはタキソテール(ドセタキセル)が奏効しなかったホルモン抵抗性の前立腺癌患者の治療におけるミトキサントロンとプレドニンと同等の作用がイクサベピロンにあると報告した。[2]これは82人の患者でクロスオーバーデザインによりイクサベピロンとミトキサントロンを比較したランダム化第2相試験であった。PSA(前立腺特異抗原)の50%以上の減少がイクサベピロンで治療された患者の17%でみられ、ミトキサントロンで治療された患者では20%にみられた。試験の患者グループ全体の生存期間中央値は10ヶ月であった。これらの著者はイクサベピロンがセカンドライン療法としてわずかに有効性を持つと結論づけた。

Eastern Cooperative Oncology Group(ECOGグループ)に所属する研究者らはイクサベピロンが「進行性尿路上皮癌患者の第2選択治療としてごくわずかに有効性を持つ」と報告した。[3]この試験は尿路上皮に進行癌のある合計45人の患者を含んだ。部分奏効率は12%で全生存期間の中央値は8ヶ月であった。

コメント
総合するとこれらのデータはイクザベピロンが広い抗癌作用分布を有することを示唆している。

参考文献
[1]Vansteenkiste J, Lara PN, Le Chevalier T, et al. Phase II clinical trial of the epothilone B analog, ixabepilone, in patients with non-small cell lung cancer whose tumors have failed first-line platinum-based chemotherapy. Journal of Clinical Oncology. 2007;25:3448-3455.
[2] Rosenberg JE, Weinberg VK, Kelly WK, et al. Activity of second-line chemotherapy in docetaxel-refractory hormone-refractory prostate cancer patients: randomized phase 2 study of ixabepilone or mitoxantrone and prednisone. Cancer. 2007;110:556-563.
[3]Dreicer R, Li S, Manola J, et al. Phase 2 trial of epothilone B analog BMS-247550 (ixabepone) in advanced carcinoma of the urothelium (E3800) A trial of the Eastern Cooperative Oncology Group. Cancer. 2007;110:759-763.

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翻訳担当者 内村 美里人

監修 林 正樹(血液・腫瘍医)

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