進行悪性黒色腫に、フォテムスチン(FM)+ダカルパジン(DTIC)対DTICでインターフェロンα併用した場合としない場合とに分けて比較した第3相臨床試験

亜分類 悪性黒色腫(メラノーマ)
分類 悪性黒色腫(メラノーマ)
会議 2006年ASCO年次総会
抄録番号 LBA18000
引用文献 Journal of Clinical Oncology, 2006 ASCO Annual Meeting Proceedings Part I. Vol 24, No. 18S(June 20 Supplement), 2006: LBA18000
著者 G. Comella, L. Maiorino, G. Filippelli, B. Massidda, N. Mozzillo, C. Caracò, P. A. Ascierto, M. G. Chiofalo, E. Simeone, A. Daponte

[pagebreak]


抄録
背景 フォテムスチン(FM)はクロロニトロソウレア系抗がん剤であり、大規模第2相臨床試験において20%を超える反応率奏効率が得られている。我々はFM、ダカルパジン(DTIC)およびインターフェロンα(INFα)を併用投与した場合について前回の研究で試験を行いその結果、全体の奏効率は40%で生存期間中央値(MST)は40週であった。そして以下の目的のために多施設第3相臨床試験をデザインし、実施した。その目的とは、1)DTICにFMを加えた場合とDTIC単剤の場合とで進行性悪性黒色腫の患者の生存期間に有意差があるか否かを調べることおよび2)化学療法とINFを併用した場合と化学療法のみの場合とで患者の無増悪期間(TTP)中央値に有意差があるのかどうかを調べることである。また副次的目的には、脳転移が出現するまでの期間評価が含まれる。

方法 手術に適さない転移性悪性黒色腫の患者184人が2002年7月から2005年12月までに本臨床試験に登録された。また、全ての適格患者はランダムに以下の治療法のいずれかに割り付けた。その治療法とは、A) FM 100 mg/sqm iv(第1日目)および DTIC 900 mg/sqm iv(第2日目)を行い、IFN α2bを併用する群と併用しない群に分け、これを3週間繰り返すまたは B)DTIC単独投与に IFN α2b を併用する群と併用群に分け、3週間ごとに投与する方法である。IFN α2b は筋肉注射で5MIUを週3回投与した。対象患者として270人必要であった。

結果 合計で661サイクルの投与が行われ、中央値は患者1人につき4サイクルであった(範囲:1-12)。化学療法の後、133人の評価可能例のうち19人が完全奏効、24人が部分奏効を示し、全奏効率は32%であった。生存期間中央値は9.4ヶ月で、無進行無増悪期間(TTP)中央値は2.7ヶ月であった。最も高い頻度で発生した有害事象は吐き気および嘔吐(33%)、脱毛症(8%)、倦怠感(12%)であるが、患者にとって忍容性がある試験スケジュールであった。また全ての有害事象は支持療法によって充分にコントロールされた。血液学的毒性は軽度から中程度であった。IFN α2bに起因する副作用もまた軽度で管理可能であった。

結論 本試験は現在も進行中で対象患者数を増やしているところであり、これらレジメンの活性有効性について評価するには尚早である。有害事象として吐き気および嘔吐が最も高い頻度で出現したが、患者にとって忍容性がある試験スケジュールであった。最新の有効性および毒性データは本総会にて発表する予定である。

翻訳担当者 佐々木了子

監修 瀬戸山修(薬学)

原文を見る

【免責事項】
当サイトの記事は情報提供を目的として掲載しています。
翻訳内容や治療を特定の人に推奨または保証するものではありません。
ボランティア翻訳ならびに自動翻訳による誤訳により発生した結果について一切責任はとれません。
ご自身の疾患に適用されるかどうかは必ず主治医にご相談ください。

皮膚がんに関連する記事

進行メラノーマに初の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)療法をFDAが承認の画像

進行メラノーマに初の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)療法をFDAが承認

米国国立がん研究所(NCI) がん研究ブログ米国食品医薬品局(FDA)は30年以上の歳月をかけて、免疫細胞である腫瘍浸潤リンパ球(tumor-infiltrating lymphocy...
進行メラノーマにペムブロリズマブ投与後わずか1週間でFDG PET/CT検査が治療奏効を予測かの画像

進行メラノーマにペムブロリズマブ投与後わずか1週間でFDG PET/CT検査が治療奏効を予測か

米国がん学会(AACR)ペムブロリズマブの単回投与後のFDG PET/CT画像が生存期間延長と相関する腫瘍の代謝変化を示す 

ペムブロリズマブ(販売名:キイトルーダ)の投与を受けた進行メ...
MDアンダーソンによるASCO2023発表の画像

MDアンダーソンによるASCO2023発表

MDアンダーソンがんセンター(MDA)急性リンパ性白血病(ALL)、大腸がん、メラノーマ、EGFRおよびKRAS変異に対する新規治療、消化器がんにおける人種的格差の縮小を特集
テキサス大...
軟髄膜疾患のメラノーマに対する免疫療法薬の画期的投与法は安全で有効の画像

軟髄膜疾患のメラノーマに対する免疫療法薬の画期的投与法は安全で有効

MDアンダーソンがんセンター
髄腔内および静脈内への同時投与により一部の患者の転帰が改善
髄腔内(IT)の免疫療法(髄液に直接投与)と静脈内(IV)の免疫療法を行う革新的な方法は、安全であり、かつ、転移性黒色腫(メラノーマ)に起因する軟髄膜疾患(LMD)患者の生存率を上昇させることが、テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの研究者による第1/1b相試験の中間解析によって認められた。