FDAが切除不能/転移ぶどう膜メラノーマに対し初のTCR-T細胞療法としてtebentafuspを承認
2022年1月25日、米国食品医薬品局(FDA)は、切除不能または転移性のぶどう膜メラノーマのHLA-A*02:01陽性の成人患者に対して、gp100ペプチド-HLA指向性CD3 T細胞エンゲージャーの二重特異性薬剤tebentafusp(テベンタフスプ、販売名:Kimmtrak、Immunocore Limited社)を承認した。
転移性ぶどう膜メラノーマ患者378人を対象としたランダム化、非盲検、多施設共同試験であるIMCgp100-202試験(NCT03070392)で有効性を評価した。患者の組み入れ条件は、中央機関での解析によってHLA-A*02:01遺伝子型陽性が確認できることであった。全身療法または肝臓への局所療法を行ったことのある患者は除外した。オリゴメタスタシス(小数個転移)に対する外科的切除の既往歴は許容した。臨床的に重大な心疾患のある患者または未治療の症候性脳転移を有する患者は除外した。
患者を2:1の割合で、tebentafusp投与群(252人)、または治験医師選択療法群(126人)にランダムに割り付けた。後者の群で投与された薬剤は、ペムブロリズマブ(販売名:キイトルーダ)、イピリムマブ(販売名:ヤーボイ)、ダカルバジンのいずれかとした。tebentafuspは、1日目に20μg、8日目に30μg、15日目に68μg、その後1週間ごとに、病勢進行または忍容不能な毒性が現れるまで静脈内投与した。有効性主要評価項目は、全生存期間とした。また、RECIST 1.1に基づいて治験医師が判定した無増悪生存期間も有効性評価項目とした。全生存期間中央値は、tebentafusp投与群で21.7カ月(95%信頼区間[CI]:18.6~28.6)、治験医師選択療法群で16カ月(95%CI:9.7~18.4)であった(ハザード比[HR]=0.51、95%CI:0.37~0.71、p<0.0001)。無増悪生存期間中央値は、tebentafusp投与群で3.3カ月(95%CI:3~5)、治験医師選択療法群で2.9カ月(95% CI:2.8~3)であった(HR=0.73、 95%CI:0.58~0.94、 p=0.0139 )。
最もよくみられた副作用(30%以上)は、サイトカイン放出症候群、発疹、発熱、そう痒症、倦怠感、悪心、悪寒、腹痛、浮腫、低血圧、皮脂欠乏、頭痛および嘔吐であった。最もよくみられた臨床検査値異常(50%以上)は、リンパ球数減少、クレアチニン増加、グルコース増加、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加、ヘモグロビン減少および血清リン値減少であった。
tebentafuspの静脈内投与の推奨用量は、以下のとおりである。
1日目:20μg
8日目:30μg
15日目:68μg
以降:週1回68μg
Kimmtrakの全処方情報はこちらを参照。
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