胃酸分泌抑制薬(PPI)はメラノーマに対するニボ+イピ療法に悪影響

イピリムマブ単剤療法に関しては、プロトンポンプ阻害薬(PPI)による治療効果減少は確認されていない

併存疾患に対してプロトンポンプ阻害薬(PPI)を服用しているメラノーマ(悪性黒色腫)患者は、服用していない患者と比べて、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法による臨床効果を半分ほどしか得られなかったという結果が、スイスのジュネーヴで開催された2018年ESMO免疫腫瘍学会議で発表された。

CheckMate 069試験のデータを用いた今回の解析結果では、PPI服用患者におけるイピリムマブ単剤療法への悪影響は示していない。

スイス 、ローザンヌにあるCHUV社のがん免疫部門Krisztian Homicsko氏とそのチームは、Checkmate 069(NCT019274199)第2相臨床試験で得られた140人の参加者データの後ろ向き解析を行った。この試験では未治療の切除不能または転移をともなうメラノーマ患者らに、イピリムマブのみの単剤療法、またはニボルマブ+イピリムマブ併用療法による免疫療法が行われた。

免疫療法は、CheckMate試験やその他の臨床試験において複数のがん種で並外れた結果を示してきたが、併存疾患に対する薬物療法が免疫療法の有効性に及ぼす影響を説明するデータは少ないため、今回の試験に至った。

研究者らは、異なる11種類の薬剤の組み合わせによる併用療法を1種類以上受けている患者において、奏効率、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を比較した。さらに、病期、LDH値、BRAFステータス、性別、年齢、BMI指数などの変数も比較した。治療前血清サンプルが利用できた患者135人について、440の分析対象物に対してタンパク質配列の解析も行われた。

PPI服用患者において、ニボルマブ+イピリムマブ併用療法の奏効率はほぼ半減
PPIは胃酸の分泌を抑える薬として最も効果があると言われている。また、喘息の患者に処方されることもある。

研究者らが単変量解析を行った結果、ニボルマブ+イピリムマブ併用を受けた患者のうち、治療前にPPI治療の実施が判った患者では、(免疫療法の)奏効率が半減し、無増悪生存期間と全生存期間も短くなることがわかったが、イピリムマブ単剤療法の患者ではこうした影響はみられなかった。

この結果は多重比較や多変量解析でも変わらなかった。

治療前血清サンプルの評価結果は、PPI服用者の好中性顆粒球にあるNCAM1/CD56とCSF3Rの数値に変化が示された。この血清タンパク解析によると、PPI服用者では治療開始時の好中球数値に有意な増加が認められた。

プロトンポンプ阻害薬によるこうした影響は、初回治療としてニボルマブまたはペムブロリズマブの単剤治療を受けたメラノーマ患者93人に対する独立コホート研究により確認された。

結論
PPIは、メラノーマに対する抗PD-1抗体単剤療法およびニボルマブとイピリムマブの併用療法の治療効果に悪影響を与える可能性があると著者は指摘した。

免疫療法が正しく作用する前に、PPIが免疫系を特有の炎症状態に変化させ、それが本来の治療効果を妨げているのではないかと著者らは推測している。

今回の結果は、メラノーマと診断され、抗PD-1抗体療法を勧められた患者にはPPI使用を可能であれば避けるべきであることを示している。しかし、抗PD-1抗体療法中に、PPIを使用し始めた場合でも同様の影響が現れるかどうかはわかっていない。そのため、さらなる研究によって全身免疫にPPIが作用する正確な機序を明らかにする必要がある。

また、この研究結果は今後の免疫療法の臨床試験計画に影響するとみられる。

参考
LBA2 – Homicsko K, Richtig G, Tuchmann F, et al. Proton pump inhibitors negatively impact survival of PD-1 inhibitor based therapies in metastatic melanoma patients.

翻訳担当者 相澤里咲

監修 中村泰大(皮膚悪性腫瘍/埼玉医科大学国際医療センター 皮膚腫瘍科・皮膚科)

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